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浮雲 ★★★★★★★★☆☆

浮雲

浮雲

戦後日本を舞台にした大恋愛映画…と言えば聞こえはいいけれども、浮気を繰り返し、次第に没落していくダメ男と、死ぬまで男との関係を切れなかった女を描いた作品。
富岡は妻がありながら戦時中のベトナムで主人公・ゆき子と不倫し、帰国したら妻とは別れる、と言いながら実際は別れず、心中しよう、と伊香保温泉に行ったら
そこで出会った飲み屋の女房に一目惚れして恋仲になる。更には妻が死んだけど葬式代がないから、愛人関係のゆき子にお金を借りに来る始末。クズすぎる。
ゆき子の方も米軍相手の娼婦になったり、中絶したり、辛い思いをしながら、最後まで富岡について行ってしまうんですよね。ようやく一緒に暮らせるとなったら病死してしまう。


2人とも戦時中にベトナムで過ごした時の想い出が忘れられず、つい過去にすがってしまう、という描写がなされていたんですが、戦後10年という時代に公開されたこの作品が
当時の観客に刺さったということなのかなあ。一歩間違えば下品なメロドラマになるところを、退廃的ながらどこか品のある雰囲気になっているのは、森雅之高峰秀子の力なんでしょうね。
救いもなくやるせない作品ではありましたけど、インパクトのある作品でした。でも他の成瀬作品もいくつか見て比較しないと消化しきれないと感じたので、ぼちぼち観ていこう。