適当な日常を綴る’

万年五月病患者が惰性で書き続けるブログ

青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない ★★★★★★★★☆☆


アニメ版はまあこんなもんかなー、と思いながら見ていたところ、劇場版で完結、みたいなラスト。こういうことされると気になるし、観に行かないと…とぼんやり思っていたのですが
いざ上映館を調べてみると、新幹線で行かないといけないようなところでしか公開されてない。これだから田舎は…。そうこうしているうちに観た人の評判が結構良かったので
これは観に行くしかない、と思ったのですが、前回東京に行った時もイベントとか飲みとか色々入ってて都合が合わず。帰省のついでにようやく観に行くことができました。


アニメではあまりスポットが当てられておらず、謎の存在だった咲太の初恋の相手・牧之原翔子がメインの話でした。Wikipediaであらすじを読む限り、原作2巻分に相当するらしい。
未来から来たという大学生の翔子と、心臓病を患う中学生の翔子。翔子を助けるためには心臓移植が必要で、未来から来た翔子は主人公の心臓を移植して生き延びたという事実を知り…。


難病の少女がどうとか、初恋の相手と今の彼女どちらかしか助けられないとか…。なんというか、メロドラマ的というか、昨今の邦画チックだなあ、と思いました。王道ではあると思いますけど。
後半、翔子や麻衣を助けるためにタイムリープするわけですが、その辺も割と設定がふわっとしてるし…。最後とか、面影が似た少女とすれ違う、くらいの方が余韻があって良いと思うんですが。


文句から始まってしまったので、じゃあ面白くなかったの?と言われればそんなことはなく。今作の良いところは、アニメ版の欠点であった尺不足を解決しているところですね。
アニメ版は1ヒロイン2~3話で話が進んでいく構成だった影響で、どうしても消化不良だったエピソードもありましたし(妹のエピソードとか顕著だと思います)。
それに比べ、今回は咲太、麻衣、翔子の3人の関係に絞って90分間展開していくため、非常に見やすい。3人の思惑が明らかになった結果、全員が自己犠牲の結論に至るのは彼ららしいというか。
あと、単純に後半は燃えますよね。古賀ちゃんを助けたことで、咲太は認識してもらえたわけだし、双葉との経験があったから、認識されなければ同時に存在できる、という知識を得たわけだし。
のどかと仲良くなっていたからこそ、撮影現場に突入することもできた。今までのヒロインがどんどん協力してくれる流れ、単純にワクワクするので好きです(小学生並みの感想)。


ヒロインを絞って尺不足を解決したのもそうですが、終わっていなかったストーリーにきっちりと区切りを付けたのも良い。作画はアニメと代わり映えしなかったので
これならアニメであと4話分くらいやれよというか、劇場でわざわざ観なくても…と思ってましたが、車の「ドン!」がやたら大音量でビビりました。力入れすぎやろ…。


佳作だとは思うし、そういう描写が多いせいで何度か涙腺に来ましたが、どうにも乗り切れなかったのは、1つには「既視感」があるのかな、と。この作品、どこかで見たような要素が多い。
ループし、劇場で完結という点で『涼宮ハルヒの消失』に似てるなあ、とまず思ったのですが、『物語シリーズ』『シュタゲ』『ココロコネクト』…等々、人気作品と類似の要素が結構ある。
このシリーズで上手いな、と思うのは「思春期症候群」という設定ですね。『ハルヒ』や『シュタゲ』のようなSFであれば、理論や整合性はリアリティを付与する上で大事になりますが
今作の「思春期症候群」は言わばオカルトで、どちらかというと『物語シリーズ』に近い。ちょっと不可解でも「まあ、思春期症候群だしなあ」で済んでしまう、ある種のマジックワード
そのくせシュレディンガーの猫とか超ひも理論とか、それっぽいことを示唆してくるという。…いや、双葉はキャラクターとして好きだし、なんなら劇場版でももっと見たかったけどそれはそれ。
ただ、咲太か麻衣どちらかが翔子のドナーになって助かる、というのはちょっと安易かなあと。心臓移植って結構適合条件厳しいのでは?とか思ってしまって没入感が削がれてしまいましたね…。


ヒット作の要素を上手く取り入れてあるのはすごいと思うけど、この作品ならでは、という要素が自分にはピンとこなかった、ということになるのかな。いろいろな作品を見すぎた弊害か。
翔子を演じた水瀬いのりさんを始め、ヒロインズはみんな名演で、だからこそエンディングが全員Verだったのが良かった。8分の6拍子のリズムがとても心地良い。
2巻分の重い内容をこの尺に上手くまとめたスタッフに「ありがとう、頑張ったね、大好き」と言いたいですね。…あ、このセリフは結構好きだしこの作品ならではの要素かもしれない(今更)。