適当な日常を綴る’

万年五月病患者が惰性で書き続けるブログ

映画スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて ★★★★★★★★★☆


映画『映画スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて』予告編


タイムラインでの評判が結構良かったので、観に行こうかな?と思いつつ、「でも結局、毎週「キラやば~」とかツイートしてるアラサーオタクたちの感想だしな…」とも思って悩む。
最終的に「例年以上に大人も楽しめる作品」という感想を見て、行くことに決めました。プリキュアを映画館で観るのは10年ぶりくらい。子連れの母親に不審な目を向けられたトラウマが…(

f:id:kaitopoketto:20191106003338p:plain


公式サイトからあらすじを引用。


「女児向けの作品を間借りして観せてもらっているのだという気持ちを忘れないように、最後列で観た」というフォロワーにならい、自分も最後列に…座ったのに両隣が女児。現実は非情である。
プリキュアシリーズはここ最近は起きてたら観る、くらいの距離感で、今作もそう。配信との相性が悪い。一番好きなのは『Go!プリンセスプリキュア』かな。ちょっと話はカタいけど。


そんな感じで、メイン5人くらいしか把握してないけど大丈夫かな…という思いはあったのですが、結論から言えば杞憂でした。むしろ前提知識はほぼいらなかったのでは。初心者に優しい。
終盤の展開には思わず涙が流れてきて、上映が終わったときには目も鼻もグズグズになっていました。最近アニメ映画で泣いたのは『アイカツ』『若おかみ』くらい…ってどっちも子供向けやん。


観ていて最初に驚いたのが、ユニが星空警察から逃走して姿を消した後、いきなりえれなとまどかまで修学旅行で離脱したところ。「え、3人もいなくなるの!?」と。
宇宙から来た謎の生命体・ユーマと、ひかる・ララとの交流が描かれるのが前半。ユーマを狙う宇宙ハンターとの戦闘が描かれるのが中盤。そして終盤。大きく分けて3部かな?


まず面白いと思ったのが、ユーマに対するひかるとララとの接し方の違いですね。トゲトゲの姿に変化したり、いきなり沖縄にワープしたりと、突拍子もない行動に出るユーマ。
それに対し、ひかるは決して拒絶せず、持ち前の好奇心ですぐに打ち解けてしまう。対して、警戒心が強く、ユーマに振り回されることに苛立ちを覚えるララ。
母星では大人でもあり、真面目な性格なのに、一方では頑固だし直情的。そんなララが、「皆がひかるみたいに友好的な人ばかりとは限らない」とユーマに訴える。
決して身勝手なユーマに嫌気が指したからではなく、自らも宇宙人として、様々な経験をしてきたであろうからこその心からの一言が、ユーマとの信頼関係を築くんですよね。
第一印象はマイナスだったからこそ、強く結ばれる絆。ユーマが2人と寝ている時、自然にララのところに転がってくるシーンは観ていて良いな、と思いました。


2人とユーマがナスカやギアナ高地、ウユニ塩湖など、地球の様々な名所を巡るシーンもとても美しく、今作の印象的なシーンの1つであると思います。
ウユニ塩湖といえばアニメのOPでやたらよく出てくることでもお馴染みですが、今作においては、ここで巡った世界が、ユーマを構成する原風景になっていく、という
とても大きな意味づけがあり、それが終盤に効いてくる。ロードムービー要素を最後に回収してくる脚本が本当に上手いなあ、と観ていて思わされました。
この序盤をしっかり描いていたからこそ、ララがユーマを助けに行くシーンの説得力が増していたと思うので、メインキャラを絞ったスタッフは英断だったのではなかろうか。


そして中盤、ユーマを狙って宇宙ハンターが攻めてくるシーン。観る前に公式サイトで見た時は「「バーン」「ジャイロ」「ハイドロ」「ダイブ」「チョップ」って…ポケモンの技かな?
とか思いましたが、立ち位置的には結構かませでしたね( 改心することもなく、ただ倒される存在。バトルそのものはそこまで印象に残らなかったけど、本筋はそこじゃないか(
一度ピンチになって、ミラクルライトを振って*1パワーアップするのは、色々なフォームが観られて良かったですね。戦闘シーンはやっぱり劇場映えするよな、と。


宇宙ハンターを倒して喜んだのも束の間、ユーマも星空警察が保護しなければいけないと伝えられ、「一緒に暮らしたい」と一人拒絶するララ。
そして、その一瞬の隙を突いてユーマを強奪し、その悪意で一瞬にしてユーマを暗黒の惑星に変えてしまうバーン。自責の念に駆られるララ。

この辺は自分も女児と一緒に「ララは悪くないルン!」とか思いながら*2観てたんですけど、ここでララを諭すように「ユーマの気持ち」を伝え、気づかせるひかるが最高にエモかった(語彙)。
メインキャラを2人に絞ったのはここでも活きていて、残り3人はひかるとララがユーマの元へ行くための道を作る露払いに徹する。
言葉が通じないユーマを、「うた」の力で救い出す…。今思うと、言葉が通じないという設定も、「うた」の説得力を増したり、序盤のララとの衝突の原因になったり、随所に活きていましたね。
ここからのシーンはもう「美しかった」としか…。「そこで渡すのミラクルライトなんかい!」ってちょっと笑って我に返りましたけど。2人の夢が、ユーマの目標となっていく。


最後、ひかるが「いつか、ユーマに会いに行こう」というシーンも涙なしには観られなかった。ひかるだって、その「いつか」が実現しないかもしれないことは当然分かっているはず。
でも、あくまでも明るく、ひかるは宣言する。これはおそらく、TV版のラストで描かれるであろう、ララとの別れのシーンでも同じように送り出すんじゃないかな。想像するだけでもう…。
このシーンでの「キラやば」のイントネーションの違いもとても良かったですね。あの一言に、様々な想いが詰まっていた。成瀬瑛美さんの演技に拍手を贈りたい。


姿形が自分と違う存在でも受け入れ、理解し合うことの大切さを説きながら、一方で無垢な存在が善になるか悪になるかは周りの人間次第なんだよ、ということもわかりやすく伝える。
子供とその親が観に来るであろうアニメ映画で訴えかけるメッセージとして、これ以上のものがあろうか。いや、そもそも訴えかけられる対象じゃないやろお前、って話は置いといて。


1つ、感動的なストーリーではあったのですが、「ララ(とひかる)の映画になってない?」という疑問はなかったわけでもなく。他3人の活躍を楽しみに来た子がどう思ったのかな、とも。
大人に刺さる名作、という側面との裏表なのですが、分かりやすく子供に受ける作品ではなかったような気もするので、難しいところですね。レギュレーションスレスレだった感はあり。
例えば、『プリティーリズム・レインボーライブ』は、4クールに濃密な人間関係が詰め込まれた稀代の名作ですが、子供が観続けるにはやや厳しい展開である気もして。
まあ、単純に面白いだけではなくとも、何か心に一つ刺さるものがあったなら、それで良いのかもしれませんけどね。…何書いてるんだかわからなくなってきたからこの辺でやめとこう(


…というわけで、相互理解、善悪論、冒険譚、ジュブナイルSF…。様々な要素がわずか70分に詰め込まれた、2019年のアニメ映画の中でもトップクラスの「キラやば」な作品。
普段『プリキュア』シリーズを観てない人にも勧められる名作だと思いました。皆さんも、心のミラクルライトを振りながら、プリキュアたちと星を創りに行きませんか?

*1:自分は貰えなかったけど

*2:勝手に代弁するなとか言わないで