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明朗・潑溂・無邪気なブログ

劇場版「メイドインアビス」-深き魂の黎明- ★★★★★★★★★☆

ライブが夕方からだったので、午前中の回を観に行きました。先週行こうと思ったら満員だったんですよね。
休日の朝だし、空いてるかなあ、と思ったんですが、割と埋まってました。オタクの成れ果てみたいなやつしかおらん。(自分を棚に上げる)
グロい描写は苦手なので、R-15に変わったという話を聞いて大丈夫かな…と心配でしたが、逆に心の準備をしてからして行けたのはよかったかも。アニメだと急にリコに針が刺さるからな…。


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色紙はナナチとミーティでした。特典があることも知らなかったのですが、今調べたらリコとプルシュカのバージョンもあったみたいですね。


お話は完全にTVアニメの続きで、深界四層から深界五層へと進んだ3人と、プルシュカとの出会い、そしてボンドルドとの対決。作中の時間は2日しか経過していないのに、非常に密度が濃い。
懸念していたグロシーンについては、序盤に出てきた、人間に寄生して眼窩からウネウネ出てくる芋虫が気持ち悪すぎて無理でしたが、腕切断とか人間解体とかはボカされてたしまあなんとか。
血の色もピンクだったし、その辺は配慮してるんだな、と思いました。痛々しい描写は結構キツかったけど、あれがないとこの作品じゃないから仕方ない。
でも、ハマシラマを食べるところは美味しそうでしたね。倉田英之ファンとしては、ああいう幕間の空気感を大事にしてくれるととても嬉しい。見た目は最悪だったけど…。


今回の映画で主に描かれていた、ボンドルドという「完全に価値観の異なる存在」との対決は面白かったですね。単純に善悪で割り切れるキャラクターではなく、むしろ一番真摯とすら言える。
アビスの謎を解明するためであれば他人はおろか、自分の肉体の消滅すら厭わない。そして、その目的達成のためであれば、何人もの孤児に、平等に「愛」を与えることができる。
まあ、その「愛」すら、実験やカートリッジの生成のためなんですけど。…でも、何匹もの成れ果てが出てきた時、ボンドルドは全員の名前を呼んでいましたよね。
もっと言うとカートリッジの名前も呼んでたし。「子供たちーボンドルド」という2者にとっては、果たして本当に不幸せな関係なのか。それはもしかしたら片面的な見方なのではないか?
ナナチとミーティのような信頼関係を築けていることが「呪い」を回避する条件なのだとしたら、そのために子供たちと、プルシュカに愛情を注いでいたのかな…とか、そんなことを思いました。


そして、面白いのが、「アビスの謎を究明したい」という思いは、リコにもあるということ。実際「ロマンは分かる」とボンドルドに理解を示す場面もありましたし。
それ以上に、最後、あれだけのことが目の前で起こり、昨日知り合って仲良くなったばかりの少女が「こぼれちゃった」あとで、リコは元気に深界六層に向かおうとするんですよね。
ナナチにしても、ボンドルドに対して「口車に乗っていなければ、オイラはよ…」と、言葉を濁していましたが、単なる憎しみだけではなく、それをきっかけに3人で冒険が出来ているのも事実。
「理屈では分かっても、理解はできない」相手と戦わざるを得ない難しさ。そして、ボンドルドも完全に倒されたわけではない。この辺りが作品の魅力の1つなのかもしれません。


レグとボンドルドのバトルシーンも圧巻でしたね。広い空洞で動き回る2人がとても迫力があって。あまりそういうシーンを期待していたわけではなかったのですが、いい意味で驚かされました。
なきがらの海の茫漠とした感じもそうですけど、こういうのはやっぱり劇場で大きな画面で観たほうが映えますね。まあ、自分は家でこれ観たら耐えられずに早送りしてしまいそうですけど…


全体的に面白かったのですが、プルシュカに関するシーンが意識的にキツく描かれてるのが辛かったですかね。カートリッジが排出されたあと、回想が長い長い。
そこまでプルシュカがどんな子か、というのが明かされていなかったから仕方ないんですけど(先に出しすぎると衝撃も薄れるし)長すぎて「趣味悪いな…」ってなってしまったところはある。


尺の面でも、放送コードの面でも、映画として制作するのが最適だったと思いますし、それに応えてとても良いものを作ってるなあ、という印象でした。
決して気分が良くなるような作品ではないんですけど、間違いなく面白い。…でも、映画館でポップコーンとか食べながら観る作品では間違いなくなかったな…。