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やがて君になる 佐伯沙弥香について(3)


『佐伯沙弥香について』の完結編。本編で描かれていた通り、3巻は結末がハッピーエンドなのは既定路線で、そこに至るまでの過程が描かれていました。
表紙の沙弥香の笑顔、良いですね。一番想いが深かったからこそ、あの立ち位置に甘んじた沙弥香が、幸せな大学生活を送るスピンオフが出るのは幸せなことだと思います。
マルチエンディングのラブコメが話題になっていますが、この手の供給が公式からあるのって改めてすごいことだよなあと。普通、同人誌とかでやることですよね。


さて、3巻はハルとの出会いと、付き合うまでのエピソードが収録されているのですが、あまり劇的なことはなく。
下宿に遊びに行って、ご飯を食べて、ハタチの誕生日にお酒を飲んで、プールに行って。感情の起伏だけ見たらいつもよりあっさりしているかもしれません。


その自然な流れの中で、ハルから向けられる好意に悩む沙弥香。吹っ切ったとはいえ、昔の経験と重なるシチュエーション。
聡いから、聡すぎるからこそ思い悩んでしまうのが沙弥香らしいな、と。それでみどりに電話して確かめる、という流れは面白かった。同棲か…。
大学生になって、色々距離感が変わっているのも興味深かったですね。沙弥香が燈子よりも侑とよく会っている、とか。
同時に好きにならないと恋仲にはならないのか?」というテーマ、陳腐といえばそうですが、沙弥香が理屈っぽく整理しようとするのが面白かった。


綺麗な終わり方だったし、まずこの企画自体が結構すごいことなんじゃないか?と今更思ったり。原作者が書いてるのでは?と思うほど心情描写が精緻だったし…。
あ、あと「二十歳になった自分を改めて感じられるような鮮烈な味をにがっ。」可愛かったですね。よく知らないけど、入間節なのかな?