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明朗・潑溂・無邪気なブログ

五等分の花嫁(14)


書かないといけない感想記事が結構溜まってきたけど、想定よりマシとはいえやっぱり忙しくて更新が滞り気味。4月早く終わらないかな…。
この情勢だとゴールデンウィークも帰省できなさそうな感じですけど。…で、とりあえず五等分の花嫁最終巻の感想でも。13巻から3ヶ月も経ったと思うとびっくりしますね。


前巻のラストで風太郎の想い人が確定したし、後は既定路線かな?みたいなことを感想に書いた記憶がありますが…率直に言って「これ、尺足りてなくない?」という疑問を抱いてしまいました。
風太郎が四葉を選んだのは、まあ良いと思うんですよね。彼からすれば、四葉がいなければ5人と関わりを持つことすら出来なかった、という事実は大きい。それは理解できる。
…でも、それに対する四葉の反応はちょっとなあ…。作品の狂言回しにさせられた一花と、結局妖怪カレー喰い女だった五月はともかく、二乃と三玖の想いに匹敵するものが四葉にあるのかな…。
読者の目線だと、風太郎には見えていない四葉の側面も見えているから、というのを加味しても「応援します!」って言っててあの立ち回りは、このキャラの魅力を殺してしまっているのでは。
挙げ句に二乃に謝りに行くって、そりゃブチ切れるよな…。三玖への「だめじゃないかな…倫理的に」もギャグなのかサイコ女なのか一瞬考えてしまったし(ギャグだと思いますけど)。


この作品、ミステリの側面があるせいで、風太郎の心情の描写が少ないんですよね。それが花嫁を推測する楽しみに繋がっている一方で、ラブコメとしては感情移入しにくいという欠点にもなり。
風太郎が四葉を選んだ理由が語られて、それが論理的に納得できても、作中で2人が積み重ねてきた描写と、他の姉妹のそれとの長さが釣り合わないと*1やっぱり感情的には納得できないかな。
まあ、そこは作品の結末なので異を唱えるものではないとして、他の姉妹に対して、誠実に断ってほしかった、という方が大きいですね。あの流れから自己解決させるのは、あまりに残酷すぎる。
姉妹愛が強いから、二乃や三玖が人格者だから何とかなったものの*2、そこに甘えているのを見るのは、二乃推しとしては辛かったです。風太郎、お前そんな奴ちゃうやろ。
その辺の気持ちの整理は、きっちり尺を取ってやってほしかったなあ、と。それこそ文化祭前後のエピソード、削れたんじゃないかな…とか。卒業までをもっと描いたら蛇足になったかなあ。


最初から着地点を決めて、でもそれを読者に悟られずに、かつ5人のヒロインの魅力を上手く出しながら週刊連載。やっぱり、全巻読んだ今考えても、とてもテクニカルな作品だったと思います。
でも、物語を結末に向かわせようとする中で、いつしかキャラのアイデンティティが変質してしまった(ように見える)。それが、終盤を読んで感じた違和感の原因なのかもしれません。
勿論、花嫁だけが唯一解ではないし、皆それぞれに自分の道を進んでいるような描写はされているので、ハッピーエンドではあるんでしょうけどね。三玖とか、一番成長したのではなかろうか。


最後に、変装に嘘にと何でもアリだったこの作品で、しかもあの状況で「たとえあんたが選ばれる日が来たとしても私は祝福したかった」とか言ってのける心の広さと姉妹愛の深さ。
それでいて風太郎への想いは一途な暴走機関車。中野二乃というキャラクターは、最後までとても魅力的でした。幸せになってほしいですね(推しを心配するタイプのオタク)。

*1:ミステリ要素のために意図的に少なくしているというのは分かりますが

*2:でも、流石に新婚旅行に姉妹で付いていくのはちょっと気持ち悪いと思いました