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12人の優しい日本人 ★★★★★★★★★★

12人の優しい日本人 [Blu-ray]

12人の優しい日本人 [Blu-ray]

  • 発売日: 2019/08/02
  • メディア: Blu-ray


日本に陪審制度があるという設定の密室劇。トラックにはねられて死亡した男性をめぐり、男性を道路に突き飛ばしたとして殺人容疑をかけられた元妻が有罪か無罪についての審理。
最初は12人が「無罪」とし、解散するかに見えたが、一人が「話し合いがしたい」と有罪に主張を変えたことから、議論が二転三転していく…という物語。


言うまでもなく、『12人の怒れる男』が元ネタで、原典のように、話を聞く気がなく個人的な感情で意見を言う人とか、早く帰りたがって議論に興味がない人とかも出てくるんですよね。
今作は12人中3人が女性で、これは良い改変だったかと。日本人の流されやすく、議論が苦手な性質がうまく表現されていて、他人事とは思えなくなってしまう。


『怒れる男』だと、全員が有罪なところを粘り強く説得して無罪に変えていく、という一本の流れがありますが、今作は一筋縄ではいかない。
有罪が優勢になったかと思えば無罪派が盛り返し…と、物語の結末がどこへ向かうか、中盤までは分からないところが面白いし、巧みだと思いました。


「議論の大切さ」や「先入観を廃することの難しさ」が描かれた『怒れる』から一歩進んで、議論を二転三転させる面白さ、そして日本人特有の性質を盛り込んだアレンジ。
独創性の観点で見れば原典は偉大ですが、リメイク作としてはこれ以上のものはないのでは、というほど良く出来た作品だと思いました。ストーリーなら原典を超えているまである。お勧めです。