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お嬢さん乾杯! ★★★★★★★★★☆

お嬢さん乾杯!

お嬢さん乾杯!

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video


修理工と令嬢の恋物語――― 映画界の革命児といわれた木下恵介が、大作「破戒」に続いて取り組んだ、明るくてそれでいてちょっと切ない恋愛映画。
佐野周二原節子という豪華な顔ぶれで、身分を超えた愛が互いの理解と尊重の上に成り立つさまを爽やかに綴っている。本当のお嬢様とは何か?真実の愛とは何か?を、教えてくれる逸品。


プラス松竹、月額330円で古めの邦画そこそこ観られるのコスパ良くない?と思ったので、観てない小津作品にしようか迷った挙句、あらすじが面白そうだった木下監督作品に。
アラサーの成金修理工・圭三。「結婚して所帯を持つ気はない」と言いながら、渋々受けたお見合いで出会った元華族の令嬢・泰子のあまりの美しさに一目惚れしてしまう。
しかし、泰子の家を訪ねた時に、複雑な家庭の事情と、お見合いの裏の目的を知って…というお話。


ざっくり言うと「身分違いの恋」を描いた作品なので、和製『ローマの休日』みたいなものかな?と思ったのですが、調べてみたらこっちの方がローマの休日より4年公開が早かった。
今作は、単に身分が違うというだけでなく、一方は貧乏から成り上がり、一方はかつて裕福でありながら没落、というねじれの関係がポイントになっていて、このズレから生まれる齟齬が見所。
例えば、道ばたで思わず圭三が通行人を怒鳴りつけてしまい、驚く泰子とか、逆に、泰子が誘われて観たボクシングの試合に思わず熱中してしまうとか。


二人が再会するのではなく、泰子が圭三を追いかけるところで終わるのがとてもお洒落だな、とも。実質ハッピーエンドなんですけど、余韻がとても良い。
「惚れております」とかいうちょっと変な日本語も、原節子が言うと様になるというか、存在感だけで「お嬢様」感が出せるのは唯一無二すぎるよな…。
そういえば、佐野周二佐田啓二が兄弟役でしたね。名前が似てていつもごっちゃになるんだよなこの2人…。佐野周二関口宏の父親、佐田啓二中井貴一の父親。


…でも、結局、この後果たしてうまくいくんだろうか、とは思わないでもない。結局、あの家族とうまくいくんだろうか、という懸念はありますよね。
「泰子はテニスが好きですけど、あなたはスポーツとかやってますか?」とかマウントとってくるおばあちゃん、コメディシーンではあるけれども、毒親(毒祖母?)がいると前途多難そう。


なんにせよ、『二十四の瞳』よりは軽いですけど、その分観やすいし面白かったのでこっちのほうが好きかも。木下監督の映画もいくつか観てみようかな。