京都大学アニメーション同好会主催のヤマカンこと山本寛監督の講演会に参加してきました。時間を一時間間違えた上に阪急も京阪も数分遅延していたので間に合うか気が気じゃなかったです(
結構本気で興味のある内容だったのでスタッフ参加も考えていた*1のですが、リコーダーの練習が一年で一番忙しい時期なので断念して普通に一般客として参加しました
一応レポートというか仰っていたことの軽いまとめ?的なものを自分用メモとして残しておきます。多分それなりに長くなるのでいつも通り省略記法を使うことにします
…あ、聞き手として参加していたスバル君、その他スタッフとして参加していたアニ同会員の皆様お疲れ様でした。何も手伝えなくてごめんなさい( …とここで書いても伝わらないかw
なんか急にアクセス数が増えててちょっと怖いので書いておきますが、細かい言い回し等は自分が脳内で補足したところもあるので、全てが山本監督の言葉そのものではないです、念のため
京都大学に入ってから自主制作作品を作るまで
・高校はそれなりの進学校で吹奏楽をやっていた。当時の吹奏楽部には今でも顔を出している。同級生の神前暁氏は作曲の道に進んだが、自分はアニ同に入ることにした
・大学見学の時にアニ同が作っていた萌えアニメの立て看板を見て「こんな同好会は自分が変えてやる」と思って入会した。反骨精神があったのは昔から
・怨念戦隊ルサンチマンを作る前に15分弱の自主制作アニメも作った。そのアニメは堅い内容だったがそこから“視聴者にウケる”ということを考えるようになった
・ルサンチマンは同期の会員が特撮をやりたいと言い出したのに感化された部分がある。映画製作サークルの作品を見て刺激を受け、いかにしてアニ同らしい作品にするか考え、ああなった
・今までは身内以外は数人のオタクしか来なかった上映が一般客も含めて大入り満員になって嬉しかった。幼稚園で流したいと言ってくださった子連れの母親もいた
京都アニメーションに入社して以後
・京アニはもともとスタジオジブリの滑り止めで受けた。実際に面接でも「スタジオジブリの滑り止めです」と言ったにも関わらず受かったので、縁があると感じ、入社を決めた
・ヤマカンが師匠と呼べる唯一の人間である、木上益治氏の下で脚本を学んだ。最初期は謙虚だったが木上氏に説教されてからどんどん自分の意見をぶつけ、監督とよく言い争うようになった
・ハレグゥの8話はAパートで原作を踏襲しつつオリジナルを盛り込み、個人的に満足な出来だったが木上氏に「ストーリー無視しろ」と言われ、Bパートでそうしてみたら水島努監督に怒られた
・旋風の用心棒は監督に全面的にコンテを直されて一度は耐えたが二度目にまたほとんど直されてブチ切れ。ぴえろ本社に殴り込みをかけて監督と直談判した
・京都アニメーションは肝心なところで自分を守ってくれて感謝している
エヴァンゲリオンについて
・当時サブカルについてかなりの批判を展開していた庵野秀明が満を持して送り出したアニメにしては微妙(普通のロボットアニメ)だと当時思っていたが25話と26話を見て衝撃を受けた
・そこから旧劇までの流れはよかったが、新劇はまだ自分の中で消化しきれていない。が、まだ完結していないのでこれについては判断がつきかねる
・魔法少女まどか☆マギカをポストエヴァとしての文脈で見ると、エヴァの25話、26話に相当するエピソードがないまま終わってしまったという印象
・まどマギはポストエヴァになることを要請されているアニメだと思う
・10年に一度は社会現象になるほどのアニメが作られるべきだが、エヴァンゲリオン以降15年以上それが出ていない。ハルヒやフラクタルはそのレベルにならなかったのが残念
フラクタルについて
・失敗したと思った点は三つある。一つは黙ってしまった(制作中に作品に関わるコメントを控えてしまった)こと。本来創作とメッセージの発信は同時に行わなければならなかった
・二つ目は自身に迷いがあったこと。監督の迷いがスタッフに伝わり、現場に迷惑をかけてしまった。監督は絶対に迷ってはいけない
・三つ目はアニメに関して全くの素人*2をメインスタッフに迎え入れてしまったこと。考えてみれば当たり前のことだが、自分の経験が足りなかった
・制作委員会から「ヤマカンを黙らせろ」という要求が来たが、A-1 Picturesのプロデューサーが「ヤマカンがどんな人物か知ってたはず。やらせてやれ」と言ってくれた(と後で関係者に聞いた)
・ネットでの様々な印象操作に影響されず、最悪特殊な手段でネットで見てもいいから、色眼鏡なしで作品を見てほしい。その上でつまらなかったと思われるのは仕方ない
今後について
・B★RSは吉岡(忍監督)のアニメ。自分は監修という立場であり、内容には一切口出ししていない。ヤマカンのアニメだから…という間違った先入観を持たずに見てほしい
・先日B★RSのアフレコに初めて顔を出した。世界の沢城(みゆきさん)を始めとしてかなり豪華なキャスト陣だったので期待してほしい
・企画を五、六本考えて各所に提出しているところで、明確な新作については決まっていない。テレビアニメではない小さなプロジェクトなら企画を進めている
その他
・(一昨日の公演は終了後すぐにレポートが上がったと司会に言われ)レポートするのはいいけど捏造するのはやめてほしい
・AKBのアニメが売れるかどうかは興味がある。個人的には売れると思うが、数字が出たとしても売りスレの連中は勝利宣言をしないのではないか、と思っている
・やらおんはアニメプロデューサーのほとんどが見ているし、気にしているが、皆さんは目の前の画面に集中してほしい
・「声優と×××した」とかツイートしてネットユーザーを釣ってみるのも面白いかもしれない(笑)が、関係者各位に迷惑がかかるのでできない
・先日木谷高明社長と会う機会があった。「炎上仲間同士仲良くしよう」と言われた(笑)
・自分は主流というより傍流として、でも業界には必要な位置でありたい。スケールは全く違うが、例えるなら宮崎駿に対する高畑勲のようなイメージ
・京大生には「賢明であれ」と言いたい。ネットに氾濫する情報に踊らされず、自分が面白いと思ったものを評価してほしい。まとめサイトや匿名掲示板での煽りは誰にでもできる
質疑応答
・ヤマカンにとってアニメとは何?→綺麗言を抜きにすれば、仕事であり飯の種
・ヤマカンが考えるアニメの成功とは?→“自分が”見て面白いと思ったか、つまらないと思ったか。ネットの意見に流されないようにしてほしい
もちろん商業的な意味での成功はペイできるか否かだということは間違いないが、消費者側がそれを気にする必要はないと思っている
・京都大学に在学中にもっとやっておけばよかったと思うことは?→もっと女の子と仲良くしておけばよかった。昔は今よりそういう勇気がなかった(笑)
・押井守監督についてどう思う?→天使のたまごは本当に傑作。ただそれ以降は商業主義に走ってしまっている印象。同族嫌悪というか、愛憎相半ばするといったところ
・Twitterで自分への批判ツイートを無言でリツイートしているのはなぜ?→Twitterでの発言は全世界に向けた意見の表明だということを相手に自覚させるため
本当に見られたくないのなら個人の日記帳にでも書けばいい。そういうことに対して問題提起をしたいという思いがある。決して煽っているわけではない
確かこんな感じだったかな?自分はメモとか取ってないのでもっと詳しいレポートがどこかに上がるはずですし、詳しく知りたい方はそういう人のレポートを参考にしてください(
割となるほどな、と思わされることも多かったのですが、それ以前にまず話が面白かったですね。人を引き付ける話術と言いますか…やはりカリスマ性のある人だなと思いました