適当な日常を綴る’

明朗・潑溂・無邪気なブログ

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー ★★★★★★★★★★

自分はオタク分野に関しては割と教養主義的なので()、昨日ひぐらし礼を見てアニメ界におけるループものを語る上で必須のこれを未だに見ていないのはまずいなあ、と
思い、早速見ることにしました。賛否両論だということや大体のあらすじくらいは知識として知ってましたが恥ずかしながら本編は全く見たことがなかったんですよね(


とにかく、これほどまでに完成度の高いアニメ映画が30年以上前に制作されたことに今更ながら驚きを禁じ得ませんでした。知識として知っているのと見るのは全然違う…
楽しそうな学園祭から徐々にループに気付いていく薄気味の悪さ、少しずつキャラクターが消えていく不気味さ、そして後半の夢邪鬼との戦い…と、途中に遊ぶシーンが
入っているとはいえ飽きさせない構成で、なおかつ分かりにくさがない。いたずらに難解な作品と違って非常に筋が明確で鮮やかなんですよね。まさに芸術的でした


そして、賛否両論だというのもかなり直感的に理解できました。これは原作のドタバタコメディとは全くの別作品ですし、高橋留美子が描きたかったものと
逆のものが描かれている、というのはなるほどその通りだと思います。あまつさえ夢邪鬼があたるに夢の世界に留まるよう諭すシーンに原作者への挑戦という
意図的なメッセージを入れているっていう話ですから、他人の褌で相撲を取った挙句本家を煽ってるわけで、批判されるのもやむなしかな、とは思います


ただ、そういう背景を見て「ひどい作品だ」「世界観をぶち壊している」と言うのは簡単ですが、それで終わらせてしまうにはこの作品はあまりにも出来がいいんですよね
せめてアイマスに対するゼノグラシアレベルであれば*1「作者の意図しない二次創作作るな」で終わりなんですけど、幸か不幸かここまで素晴らしい作品が出来てしまうと…
自分は萌えアニメで育ったオタクなので、どうも説教臭い作品って苦手なんですが、これは『うる星やつら』だからこそ、そういう臭みがある程度消えて見やすくなっていたのは
良かった点なのかもしれません。老荘思想がテーマにあるし寓話的ではあってもメッセージ性が強いわけでもないですし、その点もバランスが非常に良い作品だと感じました


原作を含めた全ての文脈の中で見たらイレギュラーではあるんでしょうけど、単体での完成度の高さと後世に与えた影響を考えれば最高評価以外はないですね。見てよかった(小並感)

*1:あくまで「完成度」での例示であって関係は全く異なるのは承知の上です