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一番美しく ★★★★★★★☆☆☆

一番美しく

一番美しく

黒澤明監督の監督デビュー作は『姿三四郎』ですが監督2作目の映画は?→『一番美しく』。芸能四択ですね。…まあ #なんとか脳 の前置きはそこそこに、公開は1944年。インパール作戦とかやってた頃らしい、と
考えるとものすごい時代ですよねw戦争賛美の映画以外は認められなかったらしく、軍需工場で働く女工が主人公なんですが、序盤から「生産量を50%上げるように」と上に言われて「それくらいしかお国のために
尽くせないなんて悔しいから66%上げたい」とか言いだして「えぇ…」ってなりました。冒頭に「撃ちてし止まむ」ってでかでかと出てくるし、工場の壁には「軍神につづけ」とかポスター貼ってあるし、単純に
「戦争プロパガンダ映画」と言ってしまうのは簡単ですけど、今の時代にこの映画を観た以上、それだけで済ませるのは何かもったいないですよね。結局、タイトルにある「一番美しく」とは何だったのか?と
考えると、素直に見れば、個を捨てて献身的に国のために尽くす女工の姿なのかなあ、と思います。つまり全体主義が美しい、ということになるんですが、当時の世相を反映したというか、させられたというか…
それよりも、工場で使役する側の人々がどいつもこいつも皆心温かい聖人ばかりだったところの方が不自然に「美しかった」ですね。現実は多分性格悪い奴ばっかりだったんだろうなあ、とか思ったんですけど、どうにも
そういう描写は国家への冒涜と取られるから入れられないらしい( 主演の矢口陽子ってどっかで名前見たなあと思ったら黒澤明の奥さんでした。主演女優とこの映画の翌年に結婚。夢のある話ですね。