適当な日常を綴る’

明朗・潑溂・無邪気なブログ

羅生門 ★★★★★★★★★☆

なんか羅生門はアマプラの見放題枠に入ってたのでタダで観られました。この際だから他の作品も全部見放題に入れといてくれれば良いのに…。
日本では不評だったけど海外で受けて色々賞を取った、くらいの知識があったので難解で面白くないんだろうな、と思ってたんですがそんなことはなかったですね。バイアスはよくない。


無知なので何も知らずに観ましたが、『羅生門』とかいうタイトルでありながらあらすじは『藪の中』でしたね。ただ原作だとそれこそ真相は“藪の中”なんですけど、今作では死体の
第一発見者である杣売りが一部始終を見ていた、という形で最後に真相が語られていますね。多襄丸・武士(の霊言)・その妻の証言が再現ドラマのように描写されるのですが
その証言が全部食い違っている。そして、真相はそのどれとも違っていて…。というもの。人間は、自分の都合の良いように事実を歪めてしまうものだ、という本性が描かれていて
それぞれによって違う認識から最後に真相に至るという点で、少し前に観た『十二人の怒れる男』を彷彿とさせるものがありました。人間はエゴイズムの塊である、という
厳しい現実を突きつけておいて、最後に捨てられた赤ん坊を引き取る、という希望のある終わり方にしているところは、芥川の『羅生門』へのアンサーなんでしょうか。
でも、あのあと杣売りが本当に赤ん坊を育てるのかは…『羅生門』の通り、「誰も知らない」んですよね。キャストの好演もあり、深いし面白い作品でした。けだし名作ですね。