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どん底 ★★★★★★★★☆☆

どん底

どん底

ゴーリキーの同名作品が原作。…無教養なので例によって読んでないですが。舞台をロシアの木賃宿から江戸時代の長屋に移し、そこで暮らす人々を描いた群像劇になっています。
印象的だったのは長回しのシーンが多い点でしょうか。言うなれば『カメ止め』みたいな。あと、左卜全山田五十鈴を筆頭に、印象的な演技をする役者が多かったですね。
調べたら低予算・短期間で一気に撮った作品なんだとか。それだけ役者の力量頼みなところがあったのかも。お杉の鬼気迫る様子とかヤバかった(小並感)。


中盤と終盤、長屋の住人達が踊り狂うところが好きで、このシーンが「どん底」である長屋を象徴していると感じました。貧しい生活を忘れて陽気に踊る様子は、一見楽しげに見えますが
見方を変えると、踊るくらいしかすることがない、ということでもあるわけで。作中で長屋から出て行った面々が逮捕、自殺、病死という3通りであることを考えると
抜け出すことができない、まさに「どん底」を表しているような気がしました。冒頭、屋根にゴミを捨てられる描写も、長屋が一段低いところに位置しているのが「底」の描写なのかなと。


明確なストーリーがない分、少しふわっとした作品でしたが、その分嘉平とかお杉とか、強烈なキャラクターが印象的だったかな、と。「テレツクツクツク テレツクツ♪」が頭から離れない。