適当な日常を綴る’

明朗・潑溂・無邪気なブログ

近松物語 ★★★★★★★★★☆


「お前の今の一言で死ねんようになった。死ぬのは嫌や。生きていたい。」


原作はタイトルの通り、近松門左衛門浄瑠璃。不倫が死刑になる江戸時代で、大経師(巻物とかの装飾をする職人)の妻・おさんとその手代、茂兵衛との許されぬ恋を描いた物語。
浄瑠璃では運悪く夜中に2人でいたところを見咎められて、という筋立てのようですが、今作ではおさんと茂兵衛が愛し合っていたという設定にすることで、悲恋物語になっていました。


最初は2人はそこまで仲が良いようには見えないのですが(職人の妻とその手代、という関係なので)、逃避行を続け、もう逃げきれないと琵琶湖で心中を図った時に、茂兵衛がおさんに気持ちを
打ち明け、それを受けての冒頭のセリフ、というわけです。他の作品と同じく、ここでも「水」が重要なシーンなんだなあ、といくつか作品を観ていくと気づきますね。
ラストは捕まった2人が処刑場へ引かれていくシーンなんですけど、処刑されるのにどこか満足そうな顔をしているのが印象的でした。2人にとってはあれが幸せなのだろう、という終わり方。


おさん役の香川京子は『山椒大夫』に引き続きの主役でしたが、『東京物語』とか『どん底』とは全然イメージが違いますね。監督によって毛色が変わるというのは割とあるあるなのかな?
今週は溝口作品をまとめて借りてきて観ましたけど、結構テーマが一貫しているので比較すると面白いですね。そろそろアニメも何か見たいところなんですが、気長に探していきますか。