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響け!ユーフォニアム 2 北宇治高校吹奏楽部のいちばん熱い夏―コンクールって何だろう―


「コンクールって、本当なんなんだろう」


それまで「懐かしいな~、吹奏楽部あるあるだわ~」とか思いながら惰性で見ていた『ユーフォ』シリーズの評価が自分の中で一変した、アニメ2期3話「なやめるノクターン」。
そのエピソードを含んだ、府大会~関西大会までのストーリーが2巻では描かれていました。当然ながら原作のほうがモノローグが多いので、更に深く描かれていてとても興味深い。
読んだ後で『リズと青い鳥』ひいては『誓いのフィナーレ』のことを思い出すと、希美とみぞれはかなり異質な関係性だな、と思いますね。お互いから見えているもののズレが引き起こす物語。


さて「審査員の好みで決まるコンクールってなんなんだろう」という疑問、吹奏楽経験者なら一度は身に覚えがあるのでは。自分もかつて、みぞれと全く同じことを感じたのを覚えています。

思い出話をすると、1年の時に関西大会出場、2年の時は関西大会優秀賞。10年ぶりの関西大会出場*1を2年連続で達成したし、加えて自分のパートは2年次から自分1人。
別にそこまで自信を持っていたわけでもないですが、少なからず自負はありました。そして迎えた地区大会。結果発表で「銀賞」*2と言い渡され、自分の最後の夏は7月で終わりました。

審査員の評定も「吹奏楽らしい演奏ではなかった」「編成のバランスが…」「男子ばかりでしたが楽しく聴けました」等々、そもそも論みたいなコメントが多く、当時は無性に腹が立ちました。
進学校の生徒にとって貴重な夏休みの大部分を3年間部活動に割き、2年連続で地区大会、県大会を突破してきた自分達の演奏が、今年は「吹奏楽らしくなかった」の一言で済まされるのか、と。
100%公正に評価することはできないにしろ、せめてここが良くなかったから、ここを良くすれば…みたいな評価ならまだ納得できていたのかな。ダメ金ですらなかったことが本当に悔しかった。


でも、麗奈の「誰が聴いても上手いと思えるレベルの演奏をすれば絶対評価してもらえるんだから、そこに到達していない人が評価に文句を言うのは負け惜しみやと思う」という主張。
卒業して10年以上が経った今見ると、耳が痛い言葉ではありますが、腑に落ちたように感じました。結局、当時も大会で録音した演奏を聴いたら、やっぱり改善点は見えてくるんですよね。
あの時は「でもこのレベルなら○○高よりは上だし、地区大会くらいは通るやろ」とか思ってたんですけど、そういう言い訳が出る時点で…ということだったのかもしれないな、と。


『誓いのフィナーレ』でも、奏が「何のために頑張っているのか」と久美子と衝突するシーンがありましたが、今思えば、当時は最後こそ報われなかったにせよ、頑張ったこと自体は
無駄ではなかったな、と。この物語を150%くらい楽しめるのは、キャラクターの気持ちに痛いほど共感できるからで、それは、かつて自分もコンクールを目指して吹奏楽をやっていたから。
純度の高い青春部活小説をこの年になっても純粋に楽しめることに感謝しつつ、また次の巻も読みたいな。ほとんど思い出話とそこから得たものの話になったけど、まあそういう小説ですよね。

*1:作中にあるように、大編成部門以外の、全国大会のない=関西大会が一番上のグレードの部門でした

*2:くくりとしては最低評価