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ドルジェル伯の舞踏会

ドルジェル伯の舞踏会 (光文社古典新訳文庫)

ドルジェル伯の舞踏会 (光文社古典新訳文庫)

肉体の悪魔』が面白かったので、同じラディゲの作品を。…まあ、ラディゲの著作は2作品しかないので必然的にこれになるわけですが。


ドルジェル伯爵夫人・マオと、マオに想いを寄せる青年貴族のフランソワ、そしてドルジェル伯爵。マオが自分でも気づかないうちにフランソワに惹かれていくという、三角関係の恋愛小説。
肉体の悪魔』でもそうでしたが、キャラクターのセリフよりもむしろ地の文がすごい。登場人物の心理を鋭く分析して書かれた文章がとても綺麗なんですよね。
例えるなら小説の合間にその評論文を読んでいるような感覚。20歳になるかならないかくらいの時にこれを書いているというのは、どれだけ天才なんだ…と思わずにはいられない。
解説によると『クレーヴの奥方』のようなフランスの恋愛心理小説の系譜に連なる作品、ということらしいので、次はこれを読みますかね。…最近フランス文学ばっかり読んでる気がするけど。