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クレーヴの奥方

クレーヴの奥方 (古典新訳文庫)

クレーヴの奥方 (古典新訳文庫)

ドルジェル伯の舞踏会』を読んだ時に、解説でこれの影響について言及されていたので読むことに。16世紀のフランス宮中が舞台の恋愛小説でした。
15歳でクレーヴ公に嫁いだシャルトル嬢(クレーヴの奥方)が、眉目秀麗なヌムール公に惹かれ、ヌムール公もまたクレーヴ夫人に惹かれる。それに嫉妬するクレーヴ公、という三角関係。


作者のラファイエット夫人本人がパリの宮中で働いていたこともあり、まるで歴史書のように主役でもない当時のフランスの貴族、王族について書かれている序盤にはやや面食らう。
序盤はシャルトル嬢がクレーヴ公に嫁ぎ、クレーヴ夫人になり、ヌムール公と出会い、母が病死し…くらいまでは緩やかに進んでいくのですが、それからの展開はまさに怒涛の一言。


当時の慣習から考えても、決してクレーヴ夫人の行動は人の道を外れているわけではないらしいのですが、理性で自分を縛るあまり、極限まで貞節を追求してしまう。
それでも、ヌムール公が割と勇み足で無遠慮なところがある人物として描かれているため、読んでいるうちに徐々にクレーヴ夫人側に引き込まれていくんですよね。興味深い。
まあ、一番可哀想なのはクレーヴ公なんですけど…。あと、特徴としてはとにかく台詞が長い。見開き1ページまるまる1人が長々喋ってる会話文なところ、結構ありますし。
古典新訳らしからぬ、というか。内容も重かったので読む割と骨が折れましたが、その分面白かったです。17世紀の小説だというのがまたすごい。…最近フランス文学ばっかり読んでるなあ。