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どですかでん ★★★★★★★☆☆☆

どですかでん

どですかでん

  • 発売日: 2015/04/22
  • メディア: Prime Video


気づけばモノクロの黒澤映画を23作全て観終えてしまった。残すはカラー作品のみ、ということで、今日は黒澤監督初のカラー作品である『どですかでん』を観ました。
タイトルの「どですかでん」とは、電車がレールの継ぎ目を乗り越える時の「ガタンゴトン」みたいな音を指す擬音で、主人公?の少年が電車ごっこをしながら口に出す言葉。


スラム街を舞台に、学校へ行かず一日中電車ごっこをしている少年、それを嘆いて宗教に縋る母親。自分の妻を交換する日雇い労働者たち。小難しいことを語る乞食の父親とそれを聞く子供。
黙ったままの男のところに訪ねてくる女、女がいくら家事手伝いをしても無言のまま。押し入ってきた泥棒に施しをする老人に、家事手伝いの姪を襲って妊娠させるアル中。


…とまあ、様々な人間が出てくる群像劇なのですが、出てくるのはだいたいクズか障害者か、といった感じで、どこに視点を置いて観ればいいのか分からず、なんとも疲れる作品でした。
過去作で言うと『どん底』に結構近いんですが、比べてみると、三船敏郎のように中心となる人物もいなければ、左卜全のような狂言回しもいない。雑然としているんですよね。


壁一面に貼られた電車の絵や、人物の服装のけばけばしさもかなり印象的。もともと画家を目指していたらしいですが、初のカラー作品である今作に、その拘りが出ているように感じました。


黒澤作品は単純にエンタメとして面白い作品が多いだけに、こういう難解というか、芸術的というか、アナーキーというか…な作品は消化不良ですね。何年か後で観たら感じ方変わるかな?