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ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん ★★★★★★★★★☆

Long Way North [Blu-ray] [Import]

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  • 出版社/メーカー: Shout! Factory
  • メディア: Blu-ray



評判が良さそうな感じだったのでずっと観たいと思っていたのですが、公開が地方都市で1週間限定、1日1回上映、とかで地方オタクには視聴難易度がやたら高い。
定期的に追加上映館情報と自分の遠征・帰省予定とを照らし合わせ、ようやく今回、タイミングが合ったので観ることができました。


舞台は19世紀のロシア。北極点到達を目指して出航したまま帰らぬ人となった祖父・オルキンの名誉回復のため、孫娘である主人公・サーシャが北極を目指す、というシンプルなストーリー。
ここに友情とか大人の事情とか諸々を加え、目指すのが北極ではなく南極、っていう作品を最近観た気がしなくもない。


まずこの作品の特徴は独特の絵柄。輪郭線がないんですよね。絵画が動いてるみたいな感じ。それでも北極の風景はとても美しい。特にブリザードのシーンが印象に残りました。


貴族の箱入り娘だった主人公が、少しずつ料理や炊事を覚え、船員たちにもやがて信頼されるようになっていく。衒いのないビルドゥングスロマンですが、シンプルだからこそ響くというか。
絵との相性も良いのかもしれませんね。日本のアニメのように、実写と見間違うような高水準の作画でなくても、というか、あの絵だからこそ、自然の美しさが伝わるのかもしれない。


終盤、オルキンが北極点に単身で到達し、旗を立てたシーンが好きでした。回想で出てきていた、オルキンが幼き日のサーシャと雪玉の上に立てた旗ですよね。
ロシア皇帝の威信のため、とか国民や貴族は思っていたかもしれないけど、オルキンにとっては、愛する孫娘との約束を果たすのが目的だった、ということなんでしょう。
食糧保ちすぎじゃない?とか、これ普通死ぬよね?とか、ツッコミどころもあったけどそれはそれで。「ペニシリンがこの時代にあるのはおかしい」という感想を見て確かに、と思いましたw


そういえば、この作品を故・高畑勲監督も称賛していた、みたいな記事を読みましたけど、確かに、このシンプルな冒険譚は『太陽の王子 ホルスの大冒険』と類似するところがあるな、とか。
話題作をようやく観られて良かったし、満足のいく作品でした。後日談をもう少し観たかったけど、削れそうなところもないし、この尺では仕方ないかな。