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この世界の(さらにいくつもの)片隅に ★★★★★★★★★★

この世界の(さらにいくつもの)片隅に 公式アートブック さらにいくつもの増補

この世界の(さらにいくつもの)片隅に 公式アートブック さらにいくつもの増補

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2019/12/07
  • メディア: 単行本


正月休みが暇だったので観に行くことに。あの内容で3時間は激重なので、精神的に余裕のある時にしか観られないですからね。長期休暇がチャンス。


kaitopoketto.hatenablog.com


検索してみたら4年前に感想書いてたし貼っとこう。追加カットがあるだけで基本的な話の流れは同じなので、多分感想も大体同じです。手抜きとも言う。


今回増えたシーンは、まず、女郎・リンとのエピソード。周作とリンの間に事情があったことが描写されると、北條家の関係に深みが生まれてきて、とても興味深かったです。
例えばすずと水原さんとの一夜のシーンであったり、葬式の帰り道に夫婦喧嘩をするシーンであったり…。前回の尺では「…ん?」となったシーンも、こういうことだったのか、と得心が行く。


第二次世界大戦軍人ではなく、市井の人々、そして、その中でも戦争から遠いすずという女性を通して描いているところにこの作品の妙味がある、と思うんですよね。
なので、今回の完全版で夫婦にまつわるエピソードが増えたことで、ピントが更にすずとそれを取り巻く人々に合い、より重厚になったのかな、と。
あと、今回も「その9日後」という演出は恐ろしいなと思いました。日本人であれば誰しも逆算してしまう「あの日」にどんどん近づいていき、今まで日付だったのが「9日後」に変わる恐怖。


昨年の夏に、この作品の聖地巡礼を一つの目的として呉市を巡ったこともあり、登場するシーンのいくつかは、「あ、ここ歩いたところだ」と思えて、懐かしかったですね。海軍の集会所とか。
加えて、作中で使われる方言。4年前はなんの感慨もなかったのに、引っ越した今では、少し親しみが持てるようになっていました。「あ、こういう言い方する人いるいる」みたいな。


3時間という長さに加え、派手な作品でもないので、友人にも勧めづらいところはあるのですが(別に友人にあんまりアニメとか勧めたりしないけど)
日本人なら、アニメが好きなら、一度は観る価値のある作品であることは間違いないですね。以前に通常版を観た、という人も、すずや周作についての印象が変わるので是非観ましょう。