適当な日常を綴る’

万年五月病患者が惰性で書き続けるブログ

SHIROBAKO ★★★★★★★★☆☆


アニメ制作会社「武蔵野アニメーション」を舞台にした、5人の女性を中心とした群像劇…ではなく、主人公の新人制作進行・宮森あおいから見たアニメ業界を描いた作品。
放送当時は折返した辺りで数話分配信を見逃し、そのままになっていたのですが、今年劇場版が放送されるということで、それまでに、と思って1話から改めて視聴しました。


特徴的だな、と思ったのが、働く女の子もの、という題材なのに「必ずしもキャラクターの成長を主軸に置いていない」ところ。結構描き方がドライなんですよね。
みゃーもりが割と最初から有能なのが象徴的で、残り3人も、それなりの苦労はしながらも順調にキャリアを積んでいく。
ずかちゃんに関しては、アニメ業界の一つの側面である「新人声優」を描写するためにはまあ、ああなるよね、とも思うので。「続・ちゃぶ台返し」はそりゃ感動しましたけど。


1人1人のキャラクターに深入りしないことで、アニメ制作の様々な仕事にスポットが当たっており、単純に、業界ものとして興味深い作品になっていると思います。
また、割と人格的にこいつはどうなんだ…みたいな人物が多く、作中の矢野さんのセリフを借りれば「カス、ゴミ、クズ」ばっかり出てくるんですが、
心の底では、みんなアニメが大好き。というまとめ方は良かったかな。そうやって熱意を持って作品を作り上げている、作り上げたい、という制作側の願いも込みでしょう。
受け継がれていくアニメーターの絆とか、武蔵野動画時代の回想とか、「継承」にまつわる話も良かった。みんなそう思ってるだろうけど、12話、19話、23話辺りは白眉かな。
パロディとかモデルも、オタクならかなり分かりやすいくらいになっているので、そういう楽しみ方もできました。縦尾まりって。庵野監督の喋り方を寄せてたのもツボってしまった。


…で、ですね。面白い作品だとは思うんですけど、イマイチ乗っていけなかったというか。結構見進めるのがしんどかったんですよね。多分今リアルタイム視聴してたら脱落したかも。
世間では割と好評なのに何故だろう、と色々考えていたんですが、まず一つに「単話で完結しているエピソードが多い」こと。加えて1つ1つのエピソードもそれなりに重い。
終盤はともかくとして、次も観たいな、というよりは、どちらかというと「今日はもうここまででいいかな…」ってなりがちでした。次回への引きの弱さはあると思います。
更に言えば、半分ドキュメント風の作品なので仕方ないんでしょうけど、お話がどうしても地味。前半と後半も正直似た展開ですし、ストーリー自体にはそこまで魅力を感じませんでした。


もう一つが「明らかにストーリーの起伏を作るために配置されている無能キャラがいる」ところ。これ、ホントストレスなんですよね。リアリティというか、説得力も弱まるし。
タローはともかく(と片付けていいのかはわからないけど)変な話、あれだけ制作サイドとの折衝を放置する編集とか本当にいるのかと。不快でしかなかったな…。


そして、多分一番大きな理由なんですけど、「社会人あるあるをアニメで観るのは正直キツい」。これに尽きるかな、と。
この作品を好きな人が多い理由って、結構この辺にある、と認識しているので、そういう意味では、単純に自分がこの作品に合わなかった、ということなのかなあ。
作中で、色々なキャラが色々なミスをするんですよね。報連相のミス、コミュニケーション不足、就活の失敗談、等々。
正直、すごく「あるある」なことが多いし、それが売りの一つなんでしょう。タローは昔の監督がモデル、という話ですけど、タローみたいなミス、決して笑い事ではない。
自分も、普段はうだつの上がらない社会の歯車をやっているので、共感はできるんですよね。問題は、「そこに共感したところで面白さに繋がらない」ということ。
ここは個人のスタンスの問題だと思いますが、自分は平日、仕事から疲れて帰ってきて、もしくは休日に仕事から開放されて、アニメという創作物を楽しんでいるんですよ。
そこで、社会人あるあるなんか見せられた日には、仕事のことを思い出して、気持ちが萎えてしまう。折角部屋で仕事を忘れて趣味の時間を過ごしているのに、です。


「仕事はみんなの協力で成り立っていると実感した」みたいに、新社会人が観る作品としてはストレートなメッセージを受け取れる作品なのかもしれません。
でも、平岡くらいの年次で、「仕事は生活の手段」と割り切っている自分からすれば、そういうのは理解していて、その上で「でも、たかが労働やん」って思ってしまう。
もちろん、自分が非クリエイティブ職だから、というのもありますが、仕事に懸ける想い、みたいなのははっきり言って他人事としか受け取れませんでした。社会不適合者なので。


「アニメに対する見方が変わった」みたいな感想も当時よく見たんですけど、自分としては、あまり制作側の事情を忖度して作品を観るのは違う、と思っていて。
もちろん、あのクソアニメやあの原作破壊アニメにも、この作品内のような事情があったかもしれない。でも、視聴者にはそんなことは関係ないわけですよね。
監督やPが「面白い作品でヒットしたら一番なんだけどね」と語っていたように、難しいのは承知な上で、視聴者としては、面白い作品が観たい。
なので、この作品で制作側の事情が(フィクションとはいえ)少し分かって興味深いのは事実として、やっぱり、面白いものは面白いし、つまらないものはつまらないんですよね。


色々と書きましたが、次回への引きが弱い、という点については、劇場版なら気にならないはずなので、どういう内容か分かりませんが、割と面白い作品になるのでは、という期待もあり。
これだけ色々キャラクターが出てきていながら、皆それぞれ魅力的、というのは、それだけ続編も楽しめるということでしょうし。今年もアニメ映画の当たり年だといいなあ。