適当な日常を綴る’

明朗・潑溂・無邪気なブログ

キラッとプリ☆チャン ★★★★★★★★★☆


「やってみなくちゃわからない!わからなかったらやってみよう!」


プリ☆チャン! それは……誰でも簡単にはじめることができて、誰でもアイドルになれる夢のチャンネル!
キラッとトキめく自分だけのチャンネルをプロデュースして、大人気プリ☆チャンアイドルを目指すのが、女の子みんなに共通の夢……
きらりヶ丘中学1年の桃山みらいと萌黄えもは、同じ学校の人気プリ☆チャンアイドル・赤城あんなへの対抗意識からなりゆきでプリ☆チャンデビューすることになってしまう。
プリ☆チャンに詳しい優等生・青葉りんかを仲間に入れて、トッププリ☆チャンアイドルを夢見る3人のチャンネル作りが始まった……。


プリティーシリーズ10周年記念作品にして、シリーズ最長の全153話。観始めた頃は、まさかこんなに長寿シリーズになるとは思いませんでしたね。無印『アイカツ!』に匹敵する長さ。
ただ、前作『アイドルタイムプリパラ』を含めれば『プリパラ』シリーズは4年近く放送されていたので、『プリチャン』シリーズに馴染むまでにはかなり時間がかかりました。
とにかく、主人公たちのチーム「ミラクルキラッツ」の魅力が見えづらかった、というのが原因。楽しそうに配信し、アイドルはしているけれど、困難を乗り越える描写がほとんどなかった。
対して、ライバルチーム「メルティックスター」は正に努力する天才。1年目は、これだけ頑張っているメルティックに勝ってほしい、と思いながら観ていたし、正直不満も多かった。


自分の中での評価が一変したのは2年目。「虹ノ咲だいあ」と「だいあ」という、引っ込み思案な少女とバーチャルアイドル、という題材を見事に描き切った白眉のシーズン。


kaitopoketto.hatenablog.com


当時書いた感想の引用ですが、『プリチャン』シリーズは、アイドルになる敷居が低いのが長所なんですよね。自己主張の強い活発な子だけがアイドルではない。
主役級のキラッツの中ですら、りんかは最初マネージャー的立ち位置でしたし。もっと引っ込み思案で自分を出す勇気がなくても、バーチャルアイドルという形でもいい、と。
そういう観点で作品を俯瞰してみると、問題児以外の何物でもないデビィ&ルゥや、虚言癖のある120話のらいあ、そもそも萌黄えもすら結構…とか、クセの強いキャラが多い。
クセが強いといえば、たまに(頻繁に?)出てくる狂気の展開も前作から健在で、意味不明な展開になって「ああ、プリチャンだ…」と思えるのも特徴か。シルクちゃん便利に使いすぎやろ。


つまり何が言いたいのか、というと、『プリ☆チャン』シリーズは、「動画配信」というテクノロジーにより、視聴者の子供にとって身近に「アイドル」を感じられる作品である、と。
そして身近に感じられる作品であるからこそ、およそ正統派の「アイドル」とは言えないようなキャラクターが何人も出てくる。多様性があり、言うなれば「なんでもアリ」な世界。
そんな作品の主人公ユニットが、バカでトラブルメーカーだけど憎めないえも、しっかりしているようで変な趣味のあるりんか、そしてクセがなく、それゆえどんな子でも受け入れられるみらい。
1年目に散々「何か無個性な主人公だなあ」と思っていたけど、必ずしも個性や才能に溢れ、努力家のアイドルが配信で人気とは限らない、というのが、この作品における結論だったんですね。
結局、メルティックスターは最後まで強者でありつづけましたが、彼女らは「勝者」ではなかった。あんなとえもが価値観の違いから対立するエピソードなんて象徴的でしたよね。


ameblo.jp


…と、つらつら書いていたところに、主人公・桃山みらいを演じた林鼓子さんが良い記事を書いていた。プリチャン観てた人、僕の駄文は読み流していいけどこの記事は読んだほうがいい。

放送がはじまった頃、みらいはあんまり感情が見えないというか、無個性だと言われていて、

私もいろんな方からご指摘いただいてましたし、自信がなかったというか

みらいに申し訳ないって私は思ってました。



みらいは可愛いくて、意外と度胸があってリーダーシップもあるし、まっすぐで素直な子で…

とにかくいい子だし、とっても素敵なのに

私の声のせいで、芝居のせいで

みなさんにみらいのいいところが伝わらないのは、苦しいなぁと。

みらいは個性がないんじゃない。

今どきの中学生らしい、普通の感覚を持ってるところがみらいらしさだ!って思えるようになったんですよね。



なんだ、じゃあ私の最初の"素直に反応していこう"って感覚はきっと間違いではなくて。



私だけが創り上げられる桃山みらい像は、それなんじゃないかな、と。。。

プリチャンは本当にいろんなキャラクターがいますが、その個性をみんなが認めてくれるのがすごくいいところだと思う。



かっこいいことが好きな子もいれば、かわいいものが好きな子もいる。



将来なりたい自分のビジョンがはっきりしている子もいれば、まだ夢を持っていない子もいる。



「夢はひとつっきりなんかじゃないから!」って、まっすぐに言ってもらえるのって嬉しいですよね。


ネットで無個性だとネタにされていたのは、本人の耳にも当たり前ですが届いていて、苦労したんだな…というのがよく分かる。(所謂「そうなんだ桃山」というやつ)
それに対する林さんの答えが「普通の感覚を持っているのがみらいの魅力」で、「個性を認めあえるのがプリチャンの魅力」だと。…主演声優がこう言ってるんだから、解釈一致ですね。
しかし、一回り下なのに(なんでそんな年齢でプリチャン観てるんだとか言わないで)、林さん本当にしっかりしてるよなー。プロの役者やん、と読んでて不覚にも感動してしまった。


生き馬の目を抜く女児アニメ業界で、「配信」というフォーマットを上手く取り入れ、奇しくもコロナ渦となった昨年も、いち早くオンラインライブを開催していましたよね。
作風そのものが、冒頭の「わからなかったらやってみよう!」に集約されている、とてもチャレンジブルな作品だったと思います。3年間、毎週楽しませていただきました。