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明朗・潑溂・無邪気なブログ

竜とそばかすの姫 ★★★★★★★★☆☆

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自然豊かな高知の田舎に住む17歳の女子高校生・内藤鈴(すず)は、幼い頃に母を事故で亡くし、父と二人暮らし。
母と一緒に歌うことが何よりも大好きだったすずは、その死をきっかけに歌うことができなくなっていた。



曲を作ることだけが生きる糧となっていたある日、親友に誘われ、全世界で50億人以上が集うインターネット上の仮想世界<U(ユー)>に参加することに。
<U>では、「As(アズ)」と呼ばれる自分の分身を作り、まったく別の人生を生きることができる。
歌えないはずのすずだったが、「ベル」と名付けたAsとしては自然と歌うことができた。ベルの歌は瞬く間に話題となり、歌姫として世界中の人気者になっていく。



数億のAsが集うベルの大規模コンサートの日。突如、轟音とともにベルの前に現れたのは、「竜」と呼ばれる謎の存在だった。
乱暴で傲慢な竜によりコンサートは無茶苦茶に。そんな竜が抱える大きな傷の秘密を知りたいと近づくベル。一方、竜もまた、ベルの優しい歌声に少しずつ心を開いていく。



やがて世界中で巻き起こる、竜の正体探し。



<U>の秩序を乱すものとして、正義を名乗るAsたちは竜を執拗に追いかけ始める。
<U>と現実世界の双方で誹謗中傷があふれ、竜を二つの世界から排除しようという動きが加速する中、ベルは竜を探し出しその心を救いたいと願うが――。



現実世界の片隅に生きるすずの声は、たった一人の「誰か」に届くのか。
二つの世界がひとつになる時、奇跡が生まれる。


細田作品、『バケモノの子』も『未来のミライ』も結局観ずじまい。今回はタイミングが合ったので観に行ってきました。


「リアルはやり直せないけど、アズならやり直せる!」みたいなキャッチフレーズを聞いた時「すぐ転生しようとするやん…」とか突っ込みそうになったのは自分に夢がない証拠。
冒頭のワクワク感は良かったし、歌がかなり重要な今作において、その歌のレベルも高かったので、惹き込まれましたね。高校生のクオリティじゃないだろ、というリアリティの欠如はともかく。


というか今作…というか自分が観た限りでは、細田監督作品って、『サマウォ』しかり『おおかみこども』然り、設定そのもののリアリティをあまり重要視していないイメージがあって。
終盤、すずが「竜」の正体に会いに行く、という展開は、流石に「いや、それはおかしいだろ」とツッコまざるをえないレベルの違和感だったので、流石にちょっと考えてほしかったですが。
そもそも「竜」の正体は誰か?という、ある種のサスペンス的な展開がストーリーの核の一つだった割に、あの正体はちょっと拍子抜けだった。この辺もカタルシスが弱かったな、という印象。


ただ、細田監督作品って、そういう減点法で観るといくらでも言えるけど、個人的には「夏」という言葉をまざまざとスクリーンに具現化するところに妙味があると思っていて。
雄大仁淀川、ひなびた土讃線。照りつける日差しに、湿度が高そうな雨。映画館の大きなスクリーンで「夏」を体験することができる、アトラクション的な要素が、1つの長所ではないかと。
なので、内容自体には若干の引っかかりを覚えつつも、やはり映画館で夏に観て良かった、というのが感想ですね。雨続きで今年の自分の夏が虚無のまま終わってしまっただけに余計そう感じる。