適当な日常を綴る’

明朗・潑溂・無邪気なブログ

青い麦

毎年、幼なじみのフィリップとヴァンカは、夏をブルターニュの海辺で過ごす。だが、16歳と15歳になった今年はどこかもどかしい。
互いを異性として意識し始めた二人の関係はぎくしゃくしている。そこへ現れた年上の美しい女性の存在が、二人の間に影を落とす......。


淡い10代の少年少女の恋模様…だと思って読み進めていたら、年上の妖艶な女性が現れて筆おろししてもらう…といういかにもフランス文学的な流れ。
そこまではまあ…と思うけど、それを幼なじみのヴァンカに話そうとする辺りが10代の男のバカさ加減を表していて面白かったですね。そりゃヴァンカも怒るわ。
彼女が怒った辺りが一番の盛り上がりで、甘酸っぱさとフランス文学らしさが混ざりあった不思議な味わいだったところに、一気に深みが出た感じ。これは女性じゃないと書けないだろうな。


本編と同じか、それ以上に参考になったのが巻末の解説。フランス文学ってなんでこういう不倫モノみたいなものしかないんだよ…と前々から思っていた、疑問が解けました。
当時のフランスでは、こういう恋愛の形がむしろオーソドックスだったのだ、ということだったんですね。コレットもかなりの恋多き女性だったらしい。なるほどなー。