ある日、小学6年生のレンコの両親は離婚を前提に別居を始めてしまう。
父が家を出て行ったため、母と二人暮しとなったレンコだったが、勝手なことばかり言う両親の間に挟まれ、どうにも納得がいかない。
なんとか両親の仲を戻そうと、去年も行ったびわ湖畔への家族旅行を強引に計画するが……。
冒頭、三角形のテーブルで食事をする3人家族のインパクトがいきなり強い。『家族ゲーム』の横一列の食事に近い異質な光景でした。
離婚を受け入れられないレンコが、少しずつ両親との距離を感じ取り、大人になっていく様子を、映像で上手く表現していましたね。田畑智子の演技の上手さもあるけど。
風呂場に立て籠もるレンコ、キリンのぬいぐるみを落とす父親、母親から逃げ出してバスに乗るシーン、琵琶湖の河川敷で父親と語り合うシーン。
思い返してみると、レンコと両親との間に物理的な距離があることが多く、「埋まらない溝」をわかりやすく描写しているなあ、と感じました。
あと、関西が舞台だったので、関西弁が心地良かったです。まだ髪の毛がフサフサの笑福亭鶴瓶も良い味出してた。でも、理科の実験の時は教室内にいろよ。
それにしても、最後30分で急に幻想的な描写になったのはちょっと驚いたなあ。作り手の拘りだったんだろうか。「おめでとうございます!」の連呼はすごく『エヴァ』的。
夫婦の絆が切れる過程の描写にも、考えさせられるものがありました。2人の人間が一緒に生きていくって難しい。離婚を単純な悪として描いていないところは好感触だったな。