適当な日常を綴る’

明朗・潑溂・無邪気なブログ

モダン・タイムス ★★★★★★★★★☆

大きな製鉄工場で働くチャーリーは、スパナを手にひたすらベルトコンベアーを流れる部品にねじを回し続けるという単純作業を繰り返していた。
その様子はテレビモニターで監視され、休む暇もなく働かされていた。

図書館に行ったら、貧弱なDVDコーナーの品揃えの中にこれを見つけました。クイズ屋的には「歯車に巻き込まれるやつ!」でおなじみの作品。
先日観に行った舞台で20世紀前半のサイレント映画について少し学び、何か観てみたいと思っていたのでちょうど良かった。授業で『独裁者』しか観たことがなかったので。


サイレント映画とはいえ、今作は分類としてはトーキー。ただ、セリフは一部を除いてほぼなく、効果音と劇伴しか使われていない。少し実験的な作品かも。
冒頭から歯車に巻き込まれるシーンが出てきた時は「これか!」という謎の感動。自動食事機は面白かったけど、あれで発狂して病院送りになるのはかわいそう。


脱獄囚に扉で応戦したり、胃薬がなくてピンチだったり、楔を取ったら作りかけの船が沈んだり、ローストダックが全然届かなかったり。ややクドいけど、ギャグシーンは結構笑えました。
それ以上にすごいと思ったのは、チャップリンの身体能力の高さ。目隠しでスケートするシーンはすごすぎるし、急カーブで横転した車から逃げ出すとか、体張ってるよなあ。
台詞がない分、動きを大げさに見せないといけないし、スタントもないから命がけだった」という先日の舞台で知った話が実感できる。自動トウモロコシ、歯が折れるだろ。


笑えるだけでなく社会風刺が盛り込まれているのが、チャップリンの作品が現代でも評価され続けている理由なんでしょうけど、今作では資本主義と機械化への批判がありましたね。
中でも「刑務所の中の方が外で暮らしているより快適」という理由で主人公がまた逮捕されようとするのは印象的。80年以上経った現代でも解決できていない社会問題なんだよな…。


そういえば共演していたポーレット・ゴダードチャップリンの3番目の妻だということは順番当てで知っていたけど、調べたら内縁関係だった説が有力っぽいですね。
チャップリン、デキ婚(狂言)から実際に妊娠→デキ婚→事実婚→4度目に結婚した妻と死ぬまで34年連れ添う、って壮絶だなあ。下手なフィクションを軽く超える人生だろ。