適当な日常を綴る’

明朗・潑溂・無邪気なブログ

映画 ゆるキャン△ ★★★★★★★★★☆

これは、少し先の冬からはじまる物語。


志摩リンは故郷の山梨を離れ、名古屋のちいさな出版社に就職し、一人暮らしをしていた。
とある週末、ツーリングの計画を立てていたところに、
高校時代の友人・大垣千明から唐突にメッセージが届く。
「今、名古屋にいるんだが」


山梨の観光推進機構に勤める千明は、数年前に閉鎖された施設の再開発計画を担当していた。


「こんなに広い敷地なら、キャンプ場にでもすればいいじゃん」
そんなリンの何気ない一言から、動き出す千明。


東京のアウトドア店で働く各務原なでしこ、
地元・山梨の小学校教師となった犬山あおい、
横浜のトリミングサロンで働く斉藤恵那。
かつてのキャンプ仲間が集まり、キャンプ場開発計画が始動する。


キャンプでつながった五人が、今だからできることに挑む、
アウトドア系ガールズストーリーの幕が上がる。


また公開初週にアニメ映画。ちょうど誕生日のクーポンの有効期限が来週までだったので、1,200円で観られるチャンスということで。
朝イチの回だったからかもしれませんが、思ったよりオタクが多くてちょっと驚きました。前の志摩リンTの若者が初対面っぽいおっさんとキャンプの話してて微笑ましかったですが。


大人になった野クルのメンバーを描く、という前情報だけは得ていたものの、いきなりハードな社会人をやってる志摩リンを見せられて少し戸惑いました。意外にゆるくないな、と。
物語が進むにつれて5人の現況が分かってくるけど、ゆるく完全週休2日制で働いているようなメンバーが誰もいない。世知辛いというか、妙なリアルさを感じてしまいましたね。


そんな5人が、何気なくリンが発したキャンプ場の計画を実現するために再集結し、協力してキャンプ場を開発していく序盤の展開は単純にワクワクしました。
みんなそれなりに忙しいはずなのに、ものすごいバイタリティだな…と思うと同時に、これが生きがいとして機能しているのもすごく伝わってくる。見習いたいくらいですね。
伝わってくるといえば、なでしこや千明が最初草刈りで腰を痛めていたシーン、職場の草刈りで1ヶ月くらい腰をやってしまった過去がフラッシュバックして辛かったです(


尺を考えたら、多分このまますんなりとはいかないよな、と思っていたら、まさかの土器が発掘されたから計画が白紙とかいう展開。
ここから遺跡との共存に持っていく大垣の手腕は見事でしたね。実質的な今作の主人公では?と思ってしまうレベル。閉校式でのあおいとのシーンもエモかったですしね。
あのシーンも、うちの近所の小学校が今年から統廃合で閉校になっていたので、田舎では珍しくないんだよな…と、ちょっとしんみりしてしまったりも。
そういえば、松ぼっくりを要所要所で描写してキャンプ場の名前にするのはなるほどと思ったんですが、遺跡要素を排除してしまうのは県の人的にはどうだったんだろうか。


そして、今作で一番好きなシーンが、本沢温泉でなでしことリンが語り合うシーンですね。…いや、多分半分以上の人があのシーンが好きだと思うんですけど(偏見)。
「大人になったら何でもできると思っていた」なでしこ。実際、大人になったら自由なお金が増えてキャンプはやりやすくなっただろうけど、反面、自由な時間は減っている。
「一人では何にもできない」と語るリン。キャンプ場開発でも、仕事でも、友人や先輩、上司に支えられている。ストレートすぎる気もするけど、刺さってしまったなあ。
なでしこではないですが、自分が「楽しい」と思ったことが例えばここを通じて何らかの形で他の人に伝わることがもしあるとすれば、それはとっても嬉しいなって(古いわ)。


実際にやったことがないから想像で書きますが、アニメや映画を観ていて思うのは、キャンプって「不自由を楽しむ」趣味なのかなあ、という印象があって。
そして、達成感、生きがいを感じるのに「不自由さ」や「苦労」はある程度必要な要素だとも思うんですよね。頑張ったからこそ、それが達成された時に満足が感じられる。
エネルギーを使わない趣味というのも多々ありますが、個人的な感覚では、そういう趣味と、ある程度骨を折った趣味が何らかの形になった時の喜びは、少し質が違うように思います。
だからこそ、仕事を頑張りながら、最高にアクティブな活動をやり遂げた5人は本当にすごいと思うし、自分も見習わないといけないな、と感じました。



お昼は軽く済ませる予定だったものの、大量の飯テロを食らってものすごくお腹が空いたので、鶏まぜそばの大盛りを食べてしまいました。ラーメンは久しぶりに食べると美味しい。
飯テロといえば、最初は季節外れの冬の描写に戸惑っていたものの、途中で映画館の空調が効きすぎて寒くなってしまったため、無駄にシンクロしてました。蟹、食べに行きたいなあ。


そんなわけで、アニメとはかなり毛色の違う作品でしたが、趣味を楽しんでいる社会人としてはかなり共感でき、また心温まる素晴らしい映画でした。
あの5人の関係性のまま社会人になったらどうなるか?という点については本当に解釈一致だったと思うし、スタッフの作品愛が伝わってくる、素敵な作品だったと思います。