8月12日、クーラーのリモコンが壊れて絶望していた「私」の目の前にタイムマシンが現れた。
後輩の明石さんたちと涼しさを取り戻す計画を立て、悪友どもを昨日へ送り出したところでふと気づく。
過去を改変したら、この世界は消滅してしまうのでは……!?
辻褄合わせに奔走する彼らは宇宙を救えるのか。そして「私」のひそかな恋の行方は。
異色の(?)コラボレーションということで、秘かに公開を楽しみにしていた今作。週末にちょうど出かける予定があったので、朝1でついでに観に行ってきました。
『四畳半神話大系』は、もう10年以上前のアニメになるんですね。当時は自分も「私」と同じく京都で大学生をしていて、親近感を覚えながら観ていたのが懐かしい。
小説版や元となった映画を予習しておこうかとも思いましたが、結果的にはまっさらな状態で観た方が楽しめたかな。なんせ内容があまりない、良い意味での娯楽映画だったので。
タイムマシンという大層なガジェットを、「クーラーのリモコンを元に戻す」というしょうもない目的のために使い倒す。このくだらなさが『四畳半』の退廃さとマッチしてますね。
ストーリーは原案からあまり変わってなさそうなのに、あのキャラクター達があの語り口で繰り広げるだけで面白いんだよなあ。小津は令和でも小津だった。
樋口師匠、そういえば当時は藤原啓治さんだったんですよね…。でも、中井和哉さんでもそこまで違和感はなかったかな。飄々としたキャラクターはお二人とも演じてるイメージありますし。
自分の記憶の中での明石さんって、もう少しミステリアスだったと思うのですが、今作では結構人間的というか、ヒロインしてましたね。可愛かったからいいけど。
あと、ラストの「私」のセリフとか、城ヶ崎先輩の「kaorisan」Tシャツとか、ちょっとニヤリとするような演出があったのもポイント高い。ファンムービーですね。
どうしても「京都の大学生活」という設定にノスタルジーを感じて贔屓目に見てしまうし、『四畳半』のキャラクターを久しぶりに観られたので満足した、というのは事実です。
…ですが、それを差し引いても、細かい伏線が次々に回収されていくのは爽快感がありました。監督が同じなので「分かりやすい『Sonny Boy』」とでも言いましょうか。
例えが適切かはともかく『カメラを止めるな!』とか好きな人は観たら楽しめるかもしれないですね。もちろん『四畳半』を観ていたらより楽しめるのは言うまでもなく。
ただ、今作ってディズニープラスでも配信されているらしく、「配信版ではここで区切りなんだろうな」というシーンが散見されました。
加えて、例えば作画や音響の面で目を引くところはそんなになかったかな?と思うので、ディズニープラスに加入しているならそちらで観てもいいかもしれないですね。