適当な日常を綴る’

明朗・潑溂・無邪気なブログ

ハケンアニメ! ★★★★★★★★★☆

連続アニメ『サウンドバック 奏の石』で夢の監督デビューが決定した瞳。だが、気合が空振りして制作現場には早くも暗雲が・・・。
瞳を大抜擢してくれたはずのプロデューサー・行城は、ビジネス最優先で瞳にとって最大のストレスメーカー。
「なんで分かってくれないの!」、だけど日本中に最高のアニメを届けたい!そんなワケで目下大奮闘中。
最大のライバルは『運命戦線リデルライト』。瞳も憧れる天才・王子千晴監督の復帰作だ。
王子復活に賭けるのはその才能に惚れ抜いたプロデューサーの香屋子・・・しかし、彼女も王子の超ワガママ、気まぐれに振り回され
「お前、ほんっとーに、ふざけんな!」と、大大悪戦苦闘中だった。
瞳は一筋縄じゃいかないスタッフや声優たちも巻き込んで、熱い“想い”をぶつけ合いながら“ハケン=覇権” を争う戦いを繰り広げる!!その勝負の行方は!?


暇だったので久しぶりに近所のレンタルビデオ店に行き、新作の棚を眺めていたら、公開当時ちょっと気になっていた作品があったので借りてみました。
土曜17時の枠で放送される1クールアニメが被ってしまい、2作品のうちどちらが視聴率を取れるかで覇権争いをする…という内容。
主人公が監督する『サウンドバック』は多分『ぼくらの』的なイメージで、逆にライバル・王子監督の『リデルライト』はTRIGGER作品っぽさを感じました。


今作の魅力は、アニメ制作に関わる様々な人を描いているところでしょうか。監督だけではなく、プロデューサーがいて、原画マンがいて、脚本家もいて、声優もいて…。
各々がよりよい作品を作るために主張しあった結果、最初はバラバラだった集団が次第にまとまり始める。同じテーマの『SHIROBAKO』に似たものを感じました。
労働讃歌の反面、良いものを作るためなら深夜まで働く、というブラックさも賛美対象みたいになってましたが、アニメ業界でそこをぼかしても逆に嘘くさいかw
ブラックといえば、先日活動休止した高野麻里佳さんが主演声優役でガッツリ出演してたけど、普通に演技上手かったですね。このビジュアルなら人気も出るわな。


奇跡による安直なハッピーエンドではなく、万人受けはしなくても誰かに刺さればいい、という主人公の意気込みには共感できたけど、実際土5枠でビターエンドは厳しそう。
あと、開き直ったようなハッピーエンドも、それはそれで記憶には残りますよね。『舞-HiME』とか20年近く前なのにまだ覚えてるし、「精霊会議」とか…もうみんな忘れてるか(


原作が2014年刊行ということで、視聴率や円盤売上で「覇権」を決める、というテーマそのものが陳腐化しているのは少し気になりました。
最近は配信が普及したおかげで、必ずしも視聴率や円盤の売上では人気度が測れなくなってますよね。そこを気にするの多分アニメオタクだけだし、本質ではないから別にいいけど。
ゼロ年代当時から、売上で「覇権」を決めるみたいな風潮が苦手で、「自分の感性に従えよ」と思っていたので、売上厨が衰退した令和は以前より風通しが良くなった気がしています。


2時間という枠の中に収めるためにデフォルメされてはいるものの、お仕事モノとしての完成度が高く、アニメファン以外でも楽しめる佳作でした。あとラストシーンがすごく好き。
どうやら原作はもっと群像劇らしく、気になるので今度図書館で借りてこようかな。収めている住民税の分はちゃんと活用しないとですね。