適当な日常を綴る’

万年五月病患者が惰性で書き続けるブログ

HELLO WORLD ★★★★★★★★☆☆

金曜、連休に浮かれながらチケットをクレジットで予約して、台風の直撃時間と丸かぶりすることに気づいたのが当日。あたしって、ほんとバカ…。
案の定というか、帰りに電車が止まって1時間以上立ち往生。ひとまずは無事に帰れてよかった…。というわけで、度々流れる予告で気になっていたので観てきました。


舞台は西暦2027年の京都。内気な主人公・堅書直実が、ある日10年後から来たという未来の自分・ナオミと出会い、この世界が仮想現実だと知らされて…というストーリー。
未来の彼女であるヒロイン・一行瑠璃を守るために未来の自分と2人で結託して画策するうちに、世界の改変を修正しようとするプログラムに目をつけられて…、うーん、セカイ系ですね。


前半は直実と瑠璃が付き合うようになるまでが描かれ、中盤、ナオミが現れた本当の理由が判明したことを転機に、後半は崩壊するセカイに立ち向かう直実、という、大きく分けて二部構成。
途中までは堀口キャラデザの『けいおん!』チックなヒロインを楽しみ、後半は怒涛の展開を受け止める。そんな感じの作品でした。あの造形で「やってやりましょう!」は完全にあずにゃん


さて、『君の名は。』以降の所謂「セカイ系」の再ブームの流れを汲む作品、とパンフレットで監督が言及していました。『天気の子』を観た時、「従来のセカイ系とは違う、令和のセカイ系
という感想を書いたんですけど、今作にも似たような感想を持ちました。単にヒロインのために戦い、セカイを救う、というストーリーラインではなく、救ったと思ったセカイもまた狂っていて、
更に別のセカイが存在する。「ーこの物語は、ラスト1秒でひっくり返るー」というキャッチコピー通り、最後で更にどんでん返しもあり、伏線が一気に回収されるのはとてもテクニカルでした。


今作が従来の「セカイ系」とは異なる点としては


・主人公とヒロインだけの関係だけではなく、10年後の自分・ナオミという「大人」が介在していること。
・所謂ボーイミーツガール系にありがちな、無知な弱いヒロインと、奮闘する主人公という構造ではなく、むしろヒロインの側に最終的な主導権があったこと。


が挙げられるかな、と思っていて、上はそのまま『天気の子』と同じ構造なのかな、と。10年後のナオミは、かつてセカイ系にハマっていた観客が感情移入しやすいキャラクターでした。
下についても最後に明かされるわけですが、斬新だな、と。セカイ系によくある、守られ系ヒロインを助ける主人公という構造は、オタクの自己陶酔だ、という従来の批判へのアンサーですね。


…とまあ、構造はかなりテクニカルなSF作品で、よく出来ているな、とは思ったんですが、手放しで「面白かった~」とは思えなかったな、というのが正直な感想なんですよね。
理由をいくつか考えていたんですけど、まず一つに、今作は設定上CGが多用されていて、そのおかげで後半の仮想空間の描写にかなり力が入っていた、というのがあって。
それはとても良かったんですが、反面、前半は直実と瑠璃が付き合うまでの日常パート、学園ものであるわけなんですよね。こことの食い合わせが悪かったかな、と。
単純なエンタメ的面白さとしては前半のほうが上だったと思うだけに、堀口絵とのズレのようなものを感じました。比較対象が京アニ作品だからかもしれないので、酷かもですが…。


もう一つに、作品世界に何も考えずに乗っていけなかったな、というのもあります。これも抽象的ですが、勢いが今ひとつ足りていない。設定も結構複雑なので、色々考えながら観る必要がある。
緻密な設定が組み上がっていながら、後半のストーリー自体はかなり力技。どこに力点を置けばいいのかイマイチ掴みきれないまま終わってしまった、という感じ。
あの衝撃的なラストがあったので、終わってから色々自分なりに考えたり設定を読んだりして「そういうことだったのか」と納得はいったし、改めてよく練られているな、と思ったんですが
結局「その感動を観ている最中に感じたかったなあ」というのが根っこにあるのかもしれない。上で、ヒロインが守られるだけの構造になっていない、というのを特徴に挙げましたけど
それはあくまで、最後まで観て、その後考えて初めて分かることですよね。観ている時には「よくあるヒロインの設定だな」としか思っていなかった。


セカイ系作品で一番大切なのは、個人的には「共感」と「没入感」だと思っていて。何も考えずにのめり込める「勢い」があれば、多少のストーリーの粗は気にならない。
『天気の子』はまさにそれだけの勢いと映像美で殴りかかってくる作品でしたが、今作はそれと比べると、理屈ではすごいと思う一方、気持ち的に乗り切れない、という意味で対象的でした。
間違いなく意欲作ではあるし、パンフレットを読んでいると制作陣の意図が色々書いてあって面白かったのですが、アニメ映画としては…と考えると。賛否両論あるのも分かる気がします。


あと、「ーこの物語は、ラスト1秒でひっくり返るー」というキャッチコピー。番宣的にはとても良いワードだと思うのですが、この作品がそういう構造であることをバラすのは
ちょっとどうなのかな…とも。最後に何かあるんだろうな、という心づもりで観てしまったので、驚きが数割減だったような。まあ『二ノ国』みたいな嘘のキャッチコピーよりはマシか。


映画  HELLO WORLD 公式ビジュアルガイド

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