映画感想
オープニングの首吊りがラストの心中につながっていく構成といい、タイトルになっている紙風船が印象的に二度使われる様子といい、これを20代で撮ったのは確かに天才ですね。
障碍者の気持ちなんて土台理解し得ないわけで(そもそも幼少時から足が不自由だったなら尚更)、それでも、どのようにジョゼと関わっていくか、が問題ではないのか。
純粋に親子の絆の尊さを描いているということなんでしょうけど、特に「親になるということは、自分より大切なものができるってことなんだ」という帰結は独身趣味人には辛かった。
佐藤二朗は完全にいつもの佐藤二朗で安心しました。もはや福田雄一作品を観る目的の一つになっている。
おそらく、大林監督は少女というものへの憧れみたいなものがあって、それをフィルムに収めているのかな、と何作か観てきて思ったのですが、今作はその極致でしたね。
かつての若いヤクザ達が出世して年をとった結果、昔を知らない若衆たちに突き上げをくらうのは寂しいですね。江田とか、結構しぶとく生きてたのになあ。
ド直球の青春物語なのですが、そこがとても良い。こういうのでいいんだよ、と言いたくなるような青春ムービー。
山守が逮捕されたり、大友勝利が年をとって爺さんになってたりするのが時代の流れを感じるし、こういう無常感もやっぱり三国志演義チックだよなあ、と。
自分も大概好き放題に楽しく生きている身ですが、もし、今後親を喪ってからこの映画を観たら…いや、辛くて観られないかもしれないな…。
前作の『広島死闘篇』とはまた毛色が変わって、ヤクザ同志の思惑渦巻く戦いの様子が存分に描写されていてとても面白かったです。
学生時代には「無限の可能性」があったわけで、それと現在を比べたら、もちろん叶わなかったことは多い。あまりこういう主題が刺さってしまうと加齢を感じて悲しいけど(
障害を持つ女の子との恋愛、という無意識のバイアスで作品を観てしまっていたれけど、実際は大学生の若気の至りとも言うべき、普通の恋愛模様でしかなかった。面白い構成だと思いました。
村岡組の組員となった山中と、村岡の姪である靖子との身分違い(?)の悲恋がメインになっており、さながらヤクザ版『ロミオとジュリエット』でしたね。
制作陣がヒット作をよく研究していることは伝わってくるのですが、それ故に予想を越えてこない(作画は本当にすごかったけど)と感じてしまいました。
母と三女がどこの家でも疎まれる…という筋書き、あの『東京物語』と似てますね。ある意味、原型といえる作品なのかもしれません。
「土曜日の実験室ー!」のところとか、特撮がやたらチープなのは多分狙ってのことなんだろうけど、主役の2人の素朴な演技(オブラート)も手伝って、作品全体から純朴さを感じました。
今観ると時代錯誤ではありますが、父と子の間の黙示的な信頼関係がとても心地良かったですね。
各人にそれぞれ思惑があって、状況が刻々と変化していくのがさながらヤクザ版三国志みたいで自分好み。
そういえば、タイトルになっている「淑女が忘れたこと」って何だったんでしょうか?素直に読めば夫への遠慮なのかな。
幸福を感じる手段は様々ありますが、やはり美味しい食べ物は手軽かつ重要ですよね。食は疎かにしてはいけない。
バイクが青春の象徴だった時代の作品なんだろうな…という感じですね。今観て何か残るものはあまりなかったかも。唐突なバッドエンドには驚きましたが。
「(社交辞令が)無駄って言うたら酒飲むのもタバコ吸うのも無駄ですよ。でも、ええやないですか」というセリフが印象的でした。
前半部分のスラップスティックさが印象的でした。くだらなさすぎて笑ってしまった。岸部一徳のキャラが良い味出しすぎでしょ。
ニューカレドニアの風景美はこれでもかというくらいに描かれており、今作の特長はむしろこのロードムービー性にあるのかも、と思いました。
若尾文子、直近で観たのが『赤線地帯』だったから曲者のイメージがありましたが、今作では若々しさに溢れていてギャップに驚く。1年しか公開年違わないのになあ。
恋愛や性というテーマを抜きにしても、ややフラットめなキャストの演技も手伝って、言葉では表現しづらい微妙な距離感、空気感が心地良く、観終わったあとの満足感はなかなかのものでした。
劇場を舞台にした作品だけあって、名作映画のオマージュがそこかしこにあり、有名な作品を知っているとニヤリとするような演出が多かったですね。
一番の見所と言っていい戦闘パートはアニメ版同様出色の出来で、スクリーンで観る価値のある作品だと感じました。
東映版と比較すると、ストーリー性が増しており、映画としては観やすくなっていると感じました。勿論、題材が題材なので、気軽に観られるというものではないですが…。
時代が移り変わるごとに、手紙から電話へ、そしてメールへ、SNSへと手段は移り変わっていっても、想いを伝えるという本質は変わらない。