入院して時間ができたのをきっかけに見始めて週末を利用して二か月かけて見終えました。75話は結構長かったですw
地球の植民星であるデロイアの独立を目指す若者達の集団「太陽の牙」に地球連邦評議会議長の息子である主人公のクリン・カシムが参加し、地球を代表する父親との間で
揺れながらも仲間との友情を深め、師を得ながら独立のために戦っていく…簡単に言うと独立戦争を描いた作品ですね。それが75話という尺で描かれていくという
独立戦争ということで政治劇に対する描写がかなり秀逸で、また群像劇として見ても面白いです。連邦側、デロイア側の様々な人々の生き様が描写されているんですね
例えば連邦のやり方に疑問を抱いて独立軍に寝返る兵士、権力を求めて虎視眈々と謀略を巡らせる部下、逆に独立側から連邦に寝返るデロイア人等々、個性豊かで面白い
青春を懸けて母星の独立に奮闘するもそれが思い通りにならない、という悲哀が長大な尺で鮮明に描かれていて、見終わった後の満足感・喪失感は相当なものがありました
特に最後、戦争の終わりを自覚しダグラムを砂漠に捨てることで新たな一歩を踏み出すシーンは感動することしきり…これが1話の冒頭につながるのか、と感慨を覚えました
ただ、この長大な尺というのが長所でもあり欠点でもあります。どういうことかというと、すごく視聴し辛いんですよね…全75話を通して見ないとテーマが見えてこないんですよ
分かりにくいというわけではなく、本当に最後まで見て初めて独立戦争の帰結、そして主人公たちがどう生きていくかが提示されるんですね。かなり挑戦的な構成だと思います
これが本や一本の映画であればともかく、毎週30分見るアニメ作品という枠で考えるとかなり特殊な構成だと言わざるを得ないなあ、と…例えば途中で偶然1話見たとしても
多分面白いとは思いにくいのではないでしょうか。実際自分も子供の頃にCS放送で一度視聴したことがあるのですが、なんか地味にアニメだなあ、と思ったのを覚えています
まあ要約すれば長すぎることが欠点なわけですが、それが長所でもあるというのは、そのような長い尺で独立戦争を描いたからこそ、政治劇や群像劇の面白さであったり
主人公たちの若さや挫折であったりが非常に克明に描写できているんですね。短かったらここまでの感動はなかったな、と思います。ただホントに長いから物語を見渡すのに
かかるエネルギーが長大になってしまうという…なんとも痛し痒しですね。一部のマニアならまだしも一般受けしにくいというかとにかく視聴ハードルが高い作品です
あと欠点としてはメカアクションがあまりよくないというのもありますね。ダグラムは高性能な機体なので基本的にあまり戦闘で苦戦することは少ないですし、戦略面で
色々見所はありますが戦闘シーンの迫力はそこまでない、というのも…ここら辺は高橋監督の後継作品でブラッシュアップされていった点なのかもしれませんね
構成の部分に欠点があるので完成度が高いとは言い難いのですが、自分が今までに見たリアルロボットアニメの中では一番面白かった、と言っても過言ではないと思います
自分がメカアクションに然程興味がないというのも評価を上げてしまってるところはありますが、テーマとストーリーは超一級品なので評価は文句なく最高ということで
長すぎる上に見るなら最後まで見ないといけないので人に勧めるのは難しい作品ではありますが、少なくとも最後まで見れば損はしないはずです。気力があればの話ですが(