適当な日常を綴る’

万年五月病患者が惰性で書き続けるブログ

群盗

群盗 (岩波文庫)

群盗 (岩波文庫)

  • 作者:シラー
  • 発売日: 1958/05/05
  • メディア: 文庫


久しぶりに古典文学。連休で時間あるときくらいは読まないと、ということで。必要にかられたのもありますが。
1958年の岩波文庫なので久保栄の訳がとにかくカタい。壺井栄といつもごっちゃになってたけど、ようやくちぃ覚えた。いや、そもそも性別違いますけどね。


疾風怒濤(シュトルム・ウント・ドランク)の代表と言われる作品ということで、序盤はとっつきにくさを感じていたものの、中盤からは一気に読んでしまいました。
さながら言葉の洪水のよう、とでも言いましょうか。訳者のボキャブラリーもあるんでしょうけど、若さが溢れている。これ書いた時20歳とからしいですからね。
教父のセリフ「皆さんのような盗賊、殺人放火の罪人、兇悪のともがら、闇の中を這い回る毒蛇、人間の汚辱、地獄の胤、鴉と蛆虫の餌食」とか好き。朝鮮中央放送かよ。


奸計を巡らす無神論者な弟フランツと、崇高な精神を持ちながら盗賊に身をやつしてしまう兄カール、そしてその婚約者アマリア。
他の登場人物も含めて、みんなある種のままならなさを抱えながら生きている。自由に生きようと思えば悪人になってしまうし、善人として生きようとしても束縛される。
途中までは単なる(ということもないけれど)復讐劇だと思っていたので、幕切れは割と意外でした。完全な悲劇ではないけど、『ハムレット』と『リア王』を足して割ったような感じ。
弟が命の危険が迫ったと知ると今まで否定していた神を(自分勝手に)祈り始めるのとか、俗物感がすごかった。キリスト教的には教育上あまりよろしくない題材ではあったんでしょうけど。


古い訳で読んだのは結構久しぶりでしたけど、とにかく勢いのある筆致に圧倒されました。これ、劇で観たらすごいんだろうな…。