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醜聞 ★★★★★★★★★☆

醜聞(スキャンダル)

醜聞(スキャンダル)

引越しでJCOMを解約してから中断していた、黒澤映画を観よう週間のことをふと思い出したので、Amazonでレンタルして観ることに。若干割高感あるけどまあしゃーない。


というわけで10作目の『醜聞(スキャンダル)』。画家の主人公が旅先で出会った声楽家と同じ宿に泊まることになり、2人で談笑していたらパパラッチに撮られて熱愛報道をされ
怒った主人公が名誉毀損で雑誌の編集長を訴える、というストーリー。ジャーナリズムを描いた社会派な作品で、1950年に公開されてるのはすごいな、と思いましたが
まあでも、雑誌の熱愛報道くらいで実際に訴えるか?って思わないでもないですよね。その辺は逆に堀編集長の「名誉が大事だから実際に訴えるまではしないもんなのさ」
という言い草のほうがもっともかもなあ、とか思ったり。何というか、描かれている事件そのものはあまり重大なことじゃないというか、スケールの小ささを感じました。


じゃあなんで高評価なんだ、というと、志村喬演じる影の主人公・蛭田弁護士が人間味に溢れているからなんですよね。ヒューマニズムの傑作である『生きる』の2年前に
公開されたこの作品で、既に志村喬演じる小市民役の良さの片鱗が表れていたんだな、と。調子の良いことを言って主人公を弁護しようとするも、結核の娘の治療費のために
堀編集長に10万円で買収されてしまう。「自分はウジ虫のような男だ」と自己嫌悪に陥ったり、年末に「人間はいつも来年こそは、来年こそはと言うんだ」
「来年こそはクズな自分をやめる」とバーで語ったり。志村さん、柔道家から医者から色々演じられてますけど、自分はこういう小市民役が好きですね。