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丹下左膳余話 百万両の壺 ★★★★★★★★★★

丹下左膳余話 百万両の壺

丹下左膳余話 百万両の壺

  • メディア: Prime Video

代々伝わるこけ猿の壺には百万両の価値があった。だが、単なる古ぼけた壺だと思われた壺は転々として、矢場の常連であった七兵衛の息子・ちょい安の金魚入れとなっていた。
矢場の用心棒をしていた丹下左膳は子供嫌いのお藤とともに、一人残された幼いちょい安の面倒を見ることになるがー


早速山中貞雄監督の現存する2作品のうちの1つを。1935年公開。これが「シェイはタンゲ、ナはシャゼン」の大河内傳次郎か!という謎の感動。文字でしか知らんかったわ。
百万両の壺を巡る各人の思惑が交差する序盤がちょっと難しいなあ、と思いながら観ていたら、気付けば疑似家族モノの人情コメディになっていた。
ダチョウ倶楽部みたいなお約束的笑いって、80年以上前には既にあったんだなあ。最後の道場の試合とかめっちゃ笑ってしまった。
かと思えば、途中で挟まれる殺陣シーンにはやはり緊張感があって、スターだったんだと実感できる。でも、居候させてもらってる女には頭が上がらないところが愛おしい。


百万両の壺も、売って大金持ちに…みたいなハッピーエンドかと思ったらそうではなかった。モノの価値は、当人たちの事情によっていくらでも変わりうるということ。
現在のモラルで考えたらアレだけど、コメディとしても人情話としても高レベルで、これを25歳で監督したとはとても信じられない。マジで天才だったんだな…。
流石に古すぎて音声が聞き取りづらいところが散見されたので、字幕がついてたら完璧だったけど、それを差し引いても自分好みの名画。観てよかったです。