適当な日常を綴る’

明朗・潑溂・無邪気なブログ

安城家の舞踏会 ★★★★★★★★★☆

第二次世界大戦後、裕福な華族だった安城家はそれまでの生活が一変する。
安城家の息子は敗戦の深手に心を痛める父親を見ては嘆き、娘は父が自害をしないよう注意を払いながらも時代の変わって行く日本にて自分の居場所を探し出そうとする。


小津監督ではない原節子主演作品。1947年公開。戦後間もないのに、あまり押し付けがましさを感じなかった気がしますね。
そもそも、筋立てがあまりこの時代の邦画っぽくないというか、舞台か洋画でも観ているような気分だったので、割と観やすかったかな。
いたって真面目な話ではあるけど、両手いっぱいに札束を持ってくるところとか、自殺を止めるためのラグビーばりのタックルとか、シュールな笑いどころもあって楽しい。


華族が廃止され、普通の暮らしをする…というのは、当主にとっては自殺を考えるほどに辛いことだったんでしょうか。
皇族離脱の問題とか取り沙汰されてますけど、殿山泰司演じる召使いなんて「殿様」って呼んでるわけで、そういう関係から平民になるのってキツいだろうな。
もう少し一般化すると、普段の生活でも何でも、一度レベルを上げてしまうと、ダウングレードするのって難しい。自分がライトプレイヤーになる決心がつかないように。


演者だと、原節子はオーラからして違いますね。欧風の舞踏会に集まる日本人にはどこか滑稽さが見え隠れしているんだけど、原節子華族に見えるもんなあ。
あと森雅之演じるサイコな長男も面白い。『白痴』とか『浮雲』とか、クセの強い役が多いから印象に残りやすいのかな。