適当な日常を綴る’

万年五月病患者が惰性で書き続けるブログ

白痴 ★★★★★★★☆☆☆

白痴

白痴

ドストエフスキーはいくつか読んだのに白痴は長すぎて読んでなかった。ロシア文学、短編はともかく長編はとっつきにくいんですよね。
まあそれはともかく、ドストエフスキーの『白痴』を原作とした作品。舞台を北海道に移し、ムイシュキン、ゴロージン、ナスターシャ、アグラーヤを元ネタにした日本人4人の
愛憎劇を描いてるんですが、「松竹の要求で尺を二時間近く削られ、黒澤明監督が「フィルムを切るなら縦に切れ」と激怒した逸話で有名な映画は?」→『白痴』という
四択があるように、カットされまくってて相当分かりづらいんですよね。前半とか導入部であらすじが延々黒い背景に文字で流れていくし割と興が削がれる…。


主人公の亀田欽司は善人として描かれているということですが、印象としてはちょっと不気味な感じがしました。定まっていない目が怖い。表情の演技が上手いのかもしれません。
キャストで言えば、東山千栄子原節子の、『東京物語』コンビが印象的でした。母と、子供の配偶者(候補)という関係性は似ているのに、距離感がまるで違う。まずこの作品における
原節子、全身黒ずくめで魔女にしか見えないんですよねw『わが青春に悔なし』の時とは大違い。あとナスターシャが元ネタだから那須妙子、ってネーミングセンスは好きかな。


作品として盛り上がるところはやっぱり後半、綾子が妙子のところへ殴り込みに行って女の戦いを繰り広げるところでしょうか。ものすごい緊迫感。妙子は人生経験を積んでいるから
綾子をまっすぐ睨むけど、綾子は妙子を直視できない、とか。ただ端折られすぎて妙子の死が唐突に感じてしまいました。あれだと伝吉が嫉妬で殺したみたいにも見えるのがちょっと…。


役者の力で魅せ場は多いのですが、やっぱり切られまくってて不完全だし、これを翻案すること自体難しかったんだろうな、とも。高級食材使ったけど調理が上手くいかなかった、みたいな?