適当な日常を綴る’

万年五月病患者が惰性で書き続けるブログ

盾の勇者の成り上がり ★★★★★★★★☆☆


異世界の国家・メルロマルクに召喚された大学生の主人公・岩谷尚文が、王女マインに全財産を盗まれた上に冤罪をかけられ、国民の信用を失ったどん底から這い上がっていく、というお話。


昨今のトレンドである、所謂「異世界転生もの」へのアンチテーゼ的作品である、と言えるでしょうね。つまり、様々な事情により、転生した先で強力な能力を得ており、その力を使って
異世界で大活躍する、という要素。これを排し、むしろ主人公が異世界で疎まれ、戦闘能力も低く…という底から成り上がっていくところにカタルシスを感じる構造になっていること。
亜人の少女・ラフタリア、魔物の少女・フィーロ、そして第二王女のメルティ。パーティメンバーとの信頼関係を徐々に築き上げていく描写はとても良かったですし
特に4話でラフタリアが尚文の救いになり、15話で逆に尚文がラフタリアの救いになったところは良い対比でしたね。メイン4人の関係は2クールで上手く描写されていたな、と。
最終話も、ラフタリアの故郷を領地にして盾の旗を立てる、という感動的な締め方でしたね。今年のヒロインでNo.1まである。演じられていた瀬戸麻沙美さんの力も大きいと思います。


…とまあ、テンプレートから外れて成り上がりを描く、という大筋と、その過程で描かれている信頼関係、という点についてはとても満足のいく2クールでしたが、不満もいくつかあります。
まず、これが一番の理由ですが、「敵に魅力がなさすぎる」のが一番マズい。マインにしても、他の勇者にしても、主人公の言うことを信じず、決めつけたりデマを流したりして
迫害してくるわけですが、ただただ不快感しかない。成り上がるためには必要なのかもしれませんが、槍の勇者である元康を始め、全く人の話を聞かないし、なにか考えがあるわけでもない。


言うなれば、「主人公を貶めるためだけに配置されたキャラクター」に見えてしまうんですよね。本来、4勇者が災厄に対処しなければ世界が滅ぶ、という設定なわけで、盾の勇者である
主人公を冷遇するのは、よほど合理的な理由がないと説得力に欠けるはず。なのに王が「盾の勇者が憎いから」とかいうレベルの理由で迫害を推進してしまうのは少し弱いかな、と…。
そこを置いておいても、残りの3勇者も3バカトリオという感じで全く好感が持てないし、しかもいつの間にか主人公のほうが強くなっている…。『鉄血』のマクギリスとかに共通する欠点ですが
物語の敵にも考えがあるから面白いわけで、ただのアホでは共感が生まれない。普通、主人公を上げて「俺TUEEE」するところを、敵を下げているだけで、相対的には同じなんですよね。


あとは戦闘シーンの冗長さでしょうか。敵に囲まれた状態で作戦会議を始めるのを筆頭に、全体的に動きがあまりなく、ちょっと魅力に欠けたかな、と。「盾だから攻撃力に欠ける」という
設定も、盾からアイアンメイデンとか出せるならもう関係ないよね…とかも思いましたけどwそして最後に、作劇上、パーティメンバーとの親交をある程度を深めてしまってからの
中盤が中だるみしていたな、という印象です。成り上がるところが売りだった以上、一旦成り上がってしまったら退屈に思えるのは仕方ないのかもしれませんけど。


所謂なろう系のテンプレから脱しようという意欲作ではありましたが、それが先行するあまり設定面に粗が出てしまい、一長一短な作品になってしまったかな、という印象でした。
とはいえ、概ね2クールを通して楽しめたのは事実ですし、ヒロインはとても魅力的でしたし、最後綺麗に纏まっていたのも評価ポイント。無個性の転生ものよりはよほど良いですけどね。