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酔いどれ天使 ★★★★★★★★☆☆

酔いどれ天使

酔いどれ天使

三船敏郎が初めて出演した黒澤作品かつ、志村喬が初主演した黒澤作品、ということで、結構重要な作品だと思います。志村喬主演かー、と思って見始めたのですが、三船敏郎演じるヤクザ・松永の存在感がありすぎて
確かにこれは実質主役三船敏郎だな、と感じました。もちろんアル中の医者・真田も人間味溢れるキャラクターではあるんですけどね。二人に共通するのは所属するヒエラルキーの下層にいる、ということでしょうか。
松永には兄貴分がいるし、真田も沼地の近くという良くない立地で医者をしている。だからこその弱さというか、人間臭さが見ていて面白いんですよね。結核が当時は今以上に恐い病気であった、という時代背景を
考えると、松永の心中がどれだけ穏やかではなかったか、ということが想像に難くないですし、またそれを相手のところまで乗り込んでいってでも治療する、という真田の熱い心意気も見ていて気持ち良かったです。


終盤の兄貴分との壮絶な格闘シーンや、最後に真田と少女が会話するシーンも印象に残っているのですが、やっぱり真田の「人間に一番必要な薬は理性だよ」が強烈に印象に残りました。70年前の作品なのにこの箴言
主に真田に注目しながら観たんですけど、これ松永に注目しながら見たらまた感想変わるんじゃないかな、と思うので、機会があればもう一度見たいですね。多分この作品は見るほど面白さに気付くスルメ作品な気がする…