適当な日常を綴る’

明朗・潑溂・無邪気なブログ

ミラベルと魔法だらけの家 ★★★★★★★★☆☆

f:id:kaitopoketto:20211211215312j:plain

魔法の力に包まれた、不思議な家に暮らすマドリガル家。
家族全員が家から与えられた“魔法のギフト(才能)”を持つ中で、少女ミラベルだけ何の魔法も使えなかった。


ある日、彼女は家に大きな”亀裂”があることに気づく──それは世界から魔法の力が失われていく前兆だった。 残された希望は、魔法のギフトを持たないミラベルただひとり。


なぜ、彼女だけ魔法が使えないのか?
そして、魔法だらけの家に隠された驚くべき秘密とは…?


先日映画を観に遠出した時にタブレットを置き忘れてしまい、特に予定もないのにまた越県する羽目に。行って帰るだけだと虚無なので、何か映画を観るか、と思って無難にディズニー。
ソロ客は自分ともう1人くらいで、家族連れとカップルだらけで完全にアウェーでした。『ARIA』を観に行った時は同類っぽいオタクが沢山いたのに…。オタク共、ディズニーも観ろよ。


やっぱり、ディズニーの技術力が織りなすミュージカル映画は楽しいですね。初っ端から『ふしぎなマドリガル家』のスピード感で惹き込まれてしまいました。
序盤はミラベルがあまりにも不遇で観ていられない。アントニオに付き添った時、そして集合写真でハブられた時、異変を虚言だと思われた時…家族にこんな仕打ち受けたら心折れるだろ。
そこから小さな冒険(?)が始まるけど、家の中で全てが完結するので、前作『ラーヤ』とかと比べるとアクション成分はかなり薄めで、ミクロな作品でしたね。
過去回想で無辜の民を殺す兵士の描写があったけど、ディズニー作品でこういう直接的な描写があるの結構珍しいかも。コロンビアの歴史にも時代背景にも疎いから設定が分からないけど。


テーマとしては、まず「家族愛」。そして、「才能がある人にも、ない人にもそれぞれ悩みがある」みたいな。明確な敵も毒親(毒祖母?)だけだし、ちょっと対象年齢高めかな?
家族という「全体」を守るためならば個を犠牲にしてもいいのか、というテーマもあったのかな。「持てる者」であるルイーサやイザベラも、それぞれ個を殺して祖母に合わせていた。
ただ、事情があればミラベルやブルーノみたいな「落伍者」に辛く当たり続けていても、二人のように「家族愛」があれば許せるのか?というのは疑問。自分ならあんな家出ていきたいけどな。
家族への愛って、相互に信頼や互恵関係が成立している前提のものだと思うし、この家族にあの境遇で無償の愛を与えられるミラベルもブルーノも、ちょっと心が綺麗すぎるような。


あと、ミュージカル映画ゆえ、姉たちとも歌って踊ってたら和解してる!みたいな印象で、そういうものだとは思いつつ、ちょっと説得力が弱かったですね。歌は良かったけども…。
そして、「なぜ、彼女だけ魔法が使えないのか?」とかあらすじに書いておいて、そこを明示しなかったのもちょっとなあ。もちろん「考察」はできるけど、明示すべきでは。
最後、魔法が戻るオチも個人的にはイマイチ。魔法に頼らずとも、家族の絆が確かなものになりました、でよくない?祖母のギフトが家族にまつわるものだったから、って解釈でいいのかな。
ドロレスの告げ口とか、気になった点は他にもあるけどまあいいか。この尺で家族全員について深堀りするのは無理だしなあ。中でもカミロの存在意義が一番薄かった気がする(


『アナ雪』とか『リメンバー・ミー』みたいな、「これ!」という楽曲がなかった気がするのは少し残念ですが、冒頭の『ふしぎなマドリガル家』以外だと、好きなのは『本当のわたし』。


www.youtube.com
自分が『ハルヒ』世代だからかもしれないけど、平野綾さんの歌声はやっぱりいいよなー。周囲に完璧を求められる美人な姉、っていうキャラクターも適役だったと思います。
もう一人の姉・ルイーサの歌『増していくプレッシャー』も良かったんですが、声が3時のヒロインとは思わなかった。たまに芸人の吹き替え声優がぴったりハマることあるよね。


併映の短編『ツリーから離れて』は、親になってから気付く親心、みたいなテーマで面白かったですね。最近同時上映の短編はあまり印象に残ってなかったけど、今回は良かった。
なんというか、言わんとすることは理解できるけど、勢い任せなところが見受けられるので、『リメンバー・ミー』とどうしても比べてしまうんですよね…。あっちは本当に名作なので。
にしても、『COCO』→『リメンバー・ミー』はともかく、『Encanto』→『ミラベルと魔法だらけの家』って、邦題ちょっとダサくない?原題、シンプルで好きなんだけどなあ。
あと、このポスターで集客が見込めるのか…?とか書いたらルッキズム扱いで抹殺されてしまうんだろうなあ。ホント、最大公約数を作らんとするディズニーの苦労が色々と伺われますね。