とある中学校、隣の席になった女の子・高木さんに、何かとからかわれる男の子・西片。
どうにかして高木さんをからかい返そうと策を練るも、いつも高木さんに見透かされてしまう。
季節はめぐり、3年生に進級した2人。周囲は将来を考え始め、不安と期待が入り混じる中、
高木さんと西片の距離は未だ変わらぬまま。
そして、中学最後の夏がはじまろうとしていた――
夏休みが始まる前日、2人は帰り道で偶然ちいさな子ネコと出逢う。
その子を「ハナ」と名付け、神社の境内で母ネコを見つけるまで面倒をみることに...。
徐々に懐いてゆくハナを見守りながら過ごす2人。
ちいさな出会いがもたらした、幸せに包まれた真夏の日々が、
あらたな想いを育んでゆく——。
『高木さん』の劇場版って、何をやるんだ?と思いつつも、毎週楽しく観ていた作品だったので、さっさと公開初週に観に行くことに。2週連続の越県。
『のんのんびより』とか『きんモザ』みたいに同世代のオタクしかいなさそう…と警戒していましたが、行ってみるとほとんど学生でした。客層が若い。自分が少数派だったとは…。
昭和末期~平成初期生まれくらいの世代を直撃するようなヒット曲のカバーがエンディングになっているから、親しい世代がメイン層だと思ってたけど、もしや「懐メロ」枠でカバーされてる?
あと、久しぶりに同じ列に上映中にスマホを触るタイプの人がいてちょっと気が散りました。スマホを触りたいんだったら配信を待って家で観てほしい。何のために映画館に来ているのか。
3期がホワイトデーで終わって、劇場版は夏休みということで、また少し2人の距離感が縮まっているように感じました。元からほとんどないけど。
西片がからかわれる、という作品の基本的なフォーマットゆえに、高木さんの感情が大きく動くところはあまりアニメでは観られなかったのですが(だからこそ貴重ではあるのだけれど)
今回は高木さんの色々な表情が見られた点が良かったですね。公式で言うところの「ニヤキュン」には事欠かなかったので、ファンの需要には十分応えていると言えるのではないでしょうか。
細かいエピソードはいくつかありつつも、主なエピソードは前半の「虫送り」と後半の「仔猫」の2つ。「虫送り」はちょっと消化不良気味?と思ったら最後に回収してくる構成が綺麗でした。
仔猫に関しては…これだけ2人の関係値が出来上がった状態から起伏を作るならこうするくらいしかないかも、と少し思ってしまったのは事実。あざといとまでは言わないけど、舞台装置的。
まあ、仔猫についても最後で回収してきたわけで、そう考えるとやはりうまくまとまっていた、と言うべきなのかな。久しぶりにエンドロール後が重要なタイプの映画を観た気がしますね。
そして、所謂「ニヤキュン」以外にも三人娘のエピソードを中心として「中学最後の夏休み」がもう一つのテーマになっていて、こちらも同じくらいエモかったですね。
いつまでも一緒ではいられないという不安を抱え、将来に思いを馳せる。誰しも経験したことだと思うけど、個人的にはもう遠い記憶になってしまった。比較的若い層の方が刺さってそう。
思い返せば、中学最後の夏って何をしてたんだっけなあ。部活動に行って、夏期講習を受けて、『パワプロ』をやり込んで…。これくらいしか思い出せない。
そんな話は置いといて、学園モノの中でも時間軸が意識されない作品で「卒業」を絡められると、逆に日々のエピソードの愛おしさが増すよな、とエンドロールの名場面集を見てて思いました。
そんな感じで、求めていたものは観られた上にラストにサプライズもあり、概ね満足できました。綺麗に完結してしまったな、という感じなので、そこは少し寂しい気もしますけど。
でも、個人的に好きな浜口・北条ペアの出番がほとんどなかったのが残念でした。買い物に行くエピソード、ちょっとだけでもいいから映像で観たかったなー。