ライムライトの魔力 老人は消え去り、若者に代わる…老いた道化師の美しくも哀しい白鳥の歌。
落ちぶれた老芸人カルヴェロ(チャップリン)は、自殺未遂をはかったバレリーナ・テリー(クレア・ブルーム)を助ける。
彼の励ましで再び舞台で踊れるようになったテリーは、二人の幸福な生活を夢見るが、カルヴェロは人生の舞台から遠ざかろうとしていた…。
「人生に必要なもの。それは勇気と想像力、そして少しのお金だ。」
ネトフリの期限が切れる前にもう1作品くらい観ておこうということで。チャップリンのアメリカ最後の作品らしい。
老人が美しい踊り子を助けて尽くし尽くされる、という展開の都合の良さに、序盤こそ若干ウディ・アレン的な気持ち悪さを感じたものの、徐々に気にならなくなりました。
雇ったサクラがいつの間にか心から笑い、アンコールでバスター・キートンと共演を果たす終盤は特に良い。カタルシスが説教臭さを超えている作品だ、と言えるのでは。
年始に観た舞台「SLAPSTICKS」は、今作の影響を少なからず受けているんじゃないか?と思いました。どちらかというと悲劇寄りな点が特に。
あの作品でも、アーバックルが「観客を笑わせることができれば死んでも構わない」と言ってましたが、今作のカルヴェロ、ひいてはチャップリンにも通じるものがありますよね。
かつては一世を風靡しながら、時代が移り変わり、自信も老いてゆくと共に必要とされなくなる…というカルヴェロの苦悩は、そのままチャップリンのことでもあったんでしょう。
終盤の「劇場は嫌いだ。血も嫌いだが、私の血管を流れている」というセリフとか特に、チャップリンの人生哲学を表しているように思いました。
『たけしの挑戦状』の「芸がないやつは生きていく価値がない」と言われてゲームオーバーになるエンドをちょっと思い出したり。芸人に通じるものがあるのかな。
というわけで、テーマ性はとても好き…というか、自分が大好きな『生きる』に通底するものすらあると思うのですが、喜劇シーンとか、ちょっと冗長に感じてしまったのも事実。
でも、こうやって冗長に感じたことすら作品のテーマ性に合致しているのでは、と思ったりもして。名作なのは間違いないと思うので、もう少し年をとったらまた観たいかな。