適当な日常を綴る’

明朗・潑溂・無邪気なブログ

Kanon(2006年京アニ版) ★★★★★★★★☆☆


昨日あんな記事を書いておきながら、ジャパニメーションの極致みたいな作品を観ているという。
オタクの基礎教養ではないですが、「泣きゲーの先駆け」と言われたこの作品に触れたことがなかったので、いつかは観たいな、と思っていて。このご時世で2日間家にいたので良い機会かなと。
2006年の秋当時は多分、週に10本も観ていたかどうかで、Kanonは観ていなかったんですよね。『コードギアス』『ネギま!?』『おとボク』とか好きでした。量産型オタクゆえ。


原作は1999年に発売された恋愛ADVなので、今観ると大分古さも感じますね。まず、いたる絵の違和感。かなりアレンジはされてますけど目がでかすぎる。中原杏先生の少女漫画かな?
そして、出てくるヒロインの頭のネジがみんな数本飛んでいる。「うぐぅ」「あぅーっ」「あははーっ」が口癖とか、無口でコミュニケーション取れないとか…。
どこかで「Kanonのヒロインは全員発達障害では?」みたいな主張を見たことありますけど、観終わった今となっては確かに、と思ってしまう( 相対的に名雪が常識人に見えるもんなあ。
変な口調も、テキストならまだしも実際に発音されているとまた印象変わりますしね。真琴とか、「あぅーっ」が口癖で幼児退行していくし…。


所謂、共通ルートっぽいところから、真琴ルート、舞ルート、栞ルートを経てあゆルートで〆、みたいな構成。名雪は全編に満遍なく絡んでくる感じ。
結構上手く再構成されていると思うんですけど、同時に、恋愛アドベンチャーゲームをアニメ化する際の難しさも現れているな、とも感じました。


つまり、ゲームでは特定のヒロインのルートに入ると、その子に特化していくのに対し、この構成だと、どうしても主人公が手当り次第にヒロインに手を出しているように見えてしまう。
作風上、各ヒロインのかなり深いところまで主人公が踏み込んでいくので、そこまで深い関係でもない子に入れ込めるのか…?という疑問を(特に中盤以降)感じましたね。
この問題点は、後年だと『ヨスガノソラ』とか『アマガミSS』みたいにヒロイン毎に完全分割したり、『ましろ色シンフォニー』みたいに、予想外の締め方をしたり、と解決法が出てますが。
真琴ルートに関しては、そこそこ尺もあったので説得力もそれなりにありましたが、特に舞、栞ルートに関しては消化不良感がありました。あゆは良かった。名雪は犠牲になったのだ…。


上手いなあ、と思ったのが、この作品の特徴である「奇跡」について。ヒロインが各々、不治の病だったり昏睡していたり、命に関わるような深刻な問題を抱えているのがポイントなのですが。
それを、各々のルートでは「奇跡」が起こることでハッピーエンドになる。でも、アニメのように一つに繋げてしまうと、どこに「奇跡」を持ってくるのか?ということになってしまう。
最終話で、栞が「大好きな人に笑っていてほしい」というのが願いで、そのためには周りの人も幸せでないといけない(から、全員助かった)と言うのは素直に舌を巻きましたね。
そういう理屈で、全員助かるハッピーエンドに持っていくのか…という。鍵作品の奇跡推し、正直あまり好きではないんですが、今作は収め方がテクニカルだったので納得させられた感じ。


サブヒロイン厨なので、アニメを見た中だとやっぱり名雪かなあ、と思うんですけど、あゆの「ボクのこと忘れないでください」からの「ボクのこと忘れてください」は強かったですね。
真琴の「春がきて…ずっと春だったらいいのに」とかもそうですけど、台詞に文学的センスのある作品だからこそ、話題作足り得たのかな、と。恋愛ゲーム原作アニメの中ではかなり好きな部類。
余命幾ばくもない設定なのに普通に出歩いてるやん、とか、色々ファンタジーやご都合設定は多いですけど、それはまあそういうものだから…と、受け入れられるのがキモオタクの素養なのかも。


そういえば、鍵作品特有の茶b…もとい、軽妙な会話シーン、なんか懐かしかったですね。
特に11話とか、ヤマカン演出回だったからだと思いますけど、北川との掛け合いが謎のシュールさで笑いました。ヤマカンっぽさが一番わかりやすく出るのって、こういう日常シーンなのかも。

ガラパゴス化したジャパニメーションの話

globe.asahi.com


数日前、とても興味深いインタビューを見かけました。インタビュアーと片渕監督とのディスコミュニケーションが著しくてちょっと面白い。アンジャッシュのコントかな?



まあ、こんな感じの経緯らしいので、所謂今のオタク向けアニメを単純に批判しているわけではないんでしょうけど、それでも印象的なフレーズがいくつかあって。

いわゆる思春期ですね。いま後期思春期って40代まで含まれるんです。世界的に!
そこまでの人が「これは自分のことだ」と思い、日本のアニメの主人公がみんな高校生なのに、あれを自分のことだと思い込んじゃうんです。
これは実は、大丈夫なのかって思わなければいけないことです。


冒頭から耳が痛い。日本の深夜アニメで人気が高い作品というのは、概して中高生が主人公なことが多いし、そこに共感する受け手もまた多い。勿論、自分も例外ではない。
所謂「深夜アニメ」に対する感性は、自分自身が高校生だった頃とそこまで変わっていないと思うんですよね。特殊なんだけど、あまりに長期間観ているので慣れて感覚が麻痺しているというか。

日本のアニメーションの中にジャンルが一個しかないのはおかしいと思いませんか?
だって今は、『名探偵コナン』まで同じジャンルに入っているんですよ。
名探偵コナンは少なくとも子供向けとして始まったはずなのに、いつの間にか同じ「隙間向け」のジャンルに入ってきているじゃないですか。おかしくないですか?


『コナン』を例に挙げ、子供向け作品ですら、放送を重ねるにつれ、対象年齢が上がってきている、という指摘。
数年前、『ゼロの執行人』が公開された際、帰省して母と話している時に「コナンの映画を観に行ったら、大人向けになっていて驚いた」と言われたのを思い出しました。
母はアニメには特に興味はなく、自分や妹が子供の頃、毎年一緒に観に行っていたコナンを、今でも映画だけ観ている、という感じなのですが、そういう感想になるんだな、と。
確かに「安室の女」みたいな当時の盛り上がり方は、子供向けというよりは、大人向け、オタク向けのそれだよなあ、とも。それが良いとか悪いとかの話ではなく。


実際、自分も今ちょうど『僕のヒーローアカデミア』観てるんですけど、めちゃくちゃ面白いんですよね。これでも、少年読者以外に、女性人気が高い作品として有名だし。
大人の(監督の言葉を借りるならば「後期思春期」の)オタクが観て楽しめる作品が殆どである、という意味では、確かにガラパゴス化していると言えるでしょうね。

海外のアニメーションの主流というのは、例えば『フナン(FUNAN)』(2018年仏アヌシー国際アニメーション映画祭長編グランプリ受賞)というフランスの映画。
デニス・ドゥというカンボジア系の監督ですけど、ポル・ポト時代のことを描いています。
また、アイルランドのノラ・トゥーミー監督の『生きのびるために(THE BREADWINNER)』(同長編審査員賞受賞)は、タリバーン支配下アフガニスタンを描いていますね。
スペインのラウル・デ・ラ・フエンテ氏とポーランドのダミアン・ネノウ氏が共同監督を務めた
『アナザー・デイ・オブ・ライフ(ANOTHER DAY OF LIFE)』(19年東京アニメアワードフェスティバル長編グランプリ受賞)は、アンゴラ内戦を描いています。


『生きのびるために』、昨年神戸で『ロング・ウェイ・ノース』を観た際に予告編が流れていて面白そう、と思ったのですが、各国でもこういう政治色のある作品が作られているんですね。
その上で、こういう作品が日本で出てこない事実について指摘されていますけど、色々な側面のある問題だよな、と思うわけで。


まず1つに、今の受け手がそういう作品をあまり求めていないであろうこと。間違いなく深夜アニメのトレンドと合わないし、かといって劇場公開してもヒットするかは怪しい。
この手の作品を好んで観る層が、わざわざアニメという媒体を選ぶかも疑わしい。実写映画ならともかく…。そもそも実写ですら、最近は漫画原作の思春期の心の機微、みたいな作品が多いのに。
周りを見ても、日本の(近年の)アニメとか、声優にしか興味がない、というオタクの方が圧倒的多数だし、アニメ映画を好んで観る層ですら決してアニメオタクの多数派ではないと思います。
オタクならカレントなアニメや漫画やゲームだけでなく古典にも触れるべきだし、小説や映画にも知悉するべきでは…みたいなのはもう古いオタク感なんだろうな、とは常々思いますし。


もう1つ、というか上記の結果として、そういう企画って通りにくいのではないだろうか、という。商業ベースでの成功が見込めるとは思えない。
だからこそ、クラウドファンディングという形で片渕監督が『この世界の片隅に』を制作した、ということなんでしょうけど。需要がない、という厳しい事実。


そして、態々そこに踏み込まずとも、ガラパゴス化した日本のアニメは一部の(そして大多数の)オタクに受けている、という事実。これが一番大きいんじゃないかなあ。
自分も『この世界の片隅に』も『マイマイ新子と千年の魔法』も好きですけど、やっぱり日本のコテコテの萌えアニメも、学園もの、青春ものも好きなんですよね。
そういう方向しかない、というのは不健全かもしれないけど、その方向においてはガラパゴス化しているが故に、他国よりも優れた作品が多いし、マーケットも大きい。


あと、海外の名作アニメ、自分も観る機会さえあれば観たいですけど、地方では中々厳しいという現実も大きい。今は、配信サービスに加入すればどこでも日本のアニメは観られる。
それに対して、『ロング・ウェイ・ノース』なんて、帰省のタイミングと上映時間が合ったからようやく観られたけど…くらい。都会民の趣味だよな~。


まとまりもなく書きましたけど、「後期思春期」というワードがなかなか刺さったなあ、と。でも、思春期にそういう作品に出会ったことが良くも悪くも核になってるからなあ。
今更そこは変わらないんだよな…とも思ったり。それこそ、大人になってからアニメに触れるようになったらまた違うんでしょうけど、多分、もう手遅れなんだよな…。

劇場版『SHIROBAKO』 ★★★★★★★★★☆

遊びに行くついでに観る予定にしてたんですが、色々と中止になったので近場で。


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色紙はみゃーもりと宮井さん。一番普通(?)のやつでしたね。タローと平岡君のやつとか割と攻めてそう。


kaitopoketto.hatenablog.com


TVアニメ版の感想。概して良い作品だと思ったのですが、大きく言うと不満点が2個あって。
まず「エピソードごとがまとまっているが故に繋がりが薄く、あまり次回を観ようと思えない」こと、もう1つは「明らかに物語の進行上障害になるためのヘイト用キャラがいる」こと。
1つ目に関しては劇場版であれば関係のない話だし、2つ目も流石に同じようなあからさまな展開にはならないだろう、と思ったので、割と劇場版に対する期待度は高かったです。


第三飛行少女隊』を制作してから4年後の武蔵野アニメーションが舞台。公開まで1年を切っているオリジナルの劇場作品を公開するため、宮森以下みんなが奮闘する…という流れ。
テーマがテーマなので仕方ないですが、やっていることはTV版と基本的には同じでしたね。違うのは、当時とはアニメ業界が、そしてムサニを取り巻く環境が様変わりしていること。
冒頭、宮森が第三飛行少女隊の2期を確認しようと会議室の扉を開け、かつての仲間とみんなでワイワイしている…のが幻想だった時の衝撃。そうくるのか、という驚きがありました。
トラブルでオリジナル作品が立ち消えになり、下請けに甘んじるようになり、かつての社員も大部分が抜けてしまったムサニ。そこに舞い込んでくるオリジナル劇場アニメ制作の話。


丸川「前」社長から「好きなだけじゃ駄目だ、それだけだと遅かれ早かれ必ず挫折する」と厳しいアドバイスを受ける宮森。そして突然始まる謎のミュージカル。思ったより尺も長い。
そこで立ち直ってから、徐々に4年前のメンバーに声をかけていき、監督、井口さん、ゴスロリ様、遠藤さん、タロー…と集結していくのは激アツでしたね。オタクはみんなこういう展開が大好き。
遠藤さんは流石にクズすぎやろ…ってなりましたが、嫁が天使で良かったなという…。いつの間にか下柳さんとも仲良くなってたし、4年という歳月がプラスに働いている例なんでしょうね。


TVアニメ版が2クールで様々なキャラクターの成長を描いていたのと比べると、この劇場版には成長という軸はあまりなかったですね。りーちゃんとかむしろ空白期間にめっちゃ成長してるし。
そうではなくて、成長したかつてのムサニのみんなが、更に4年経って、新たな困難にどう立ち向かうか。そこを割と真摯に描いていたと思うので、観ていて楽しかったし、頼もしかった。
宮森はTVアニメの時から割と超人でしたけど、今回も挫折するかと思いきやほとんど自分一人で立ち直って完璧に立ち回るし、やっぱり超人でしたね。
完成させないと意味がない」という、一番重要なところを繰り返し伝える実直さが好印象でした。最後が物足りないから直させてくれ、と拘るところも含めて。
そしてそこまで拘った完成作品が、じゃあ劇的に良くなったのかと言われると…?なのも、ものづくりってそういうものなんだろうな、と思わされたりして。


TVアニメ版は、アニメを作っているシーンこそ多かったけど、完成したものが実際に流れるシーンがあまりなかったので、そういう意味では劇場版のほうが説得力があったと思います。
それにしても尺長いなwとは思いましたけど、やっぱり完成形が見たいですからね。下手したらというか、間違いなく劇中劇(と妄想シーン)が一番動いてて笑いました。


メッセージ性を感じられてとても良かったんですが、新キャラがほぼ空気で、出した意味ある…?って感じだったのと、この内容なら1クールくらいでも出来そう、とも思ったりして。
あまり次回作とかあっても同じような展開をなぞることになると思うので、これが一番の形かな、とは思うんですけど、もう少しこの世界を見ていたい。そう思ってしまう作品でした。

理系が恋に落ちたので証明してみた。 ★★★★★★★★☆☆

KACが流れた途端に急にモチベーションが下がって、結果ブログを毎日更新するようになったの、我ながら分かりやすいと思う(挨拶)。



アマプラで全話一気に観放題だったので、金曜夜の癒しとして、ちょいちょい観進めていたのですが、結果的に地上波より早く観終えてしまいました。
タイトル通り、理系大学院生の男女が恋をするも、この感情は本当に恋なのか、実験して証明しようとする…という、なんというかよく分からない流れ。
心拍数を測ってみたり、体温上昇を計測したり、はたまたデートに最適な環境条件を算出したり、デートコースの所要時間を最適化したり…とまあ色々。


恋を証明しようとする雪村心夜と氷室菖蒲の2人については、1話からずっとバカップルぶり全開で、ギャグとしてはスベリ芸に近い。
要所要所で出てくる理系用語のふわっとした解説と、それをあまりにしょうもない事象に適用するギャップで笑う、といった感じでしょうか。


これ一辺倒だとマンネリですが、研究室にはもう一組、幼馴染の棘田・犬飼ペアがいて、こっちはこっちで結構面白い。基本的にはからかわれてるだけなんですけど。
2組のカップルと、みんな大好きな可愛い常識人の後輩・奏言葉。人物間のバランスが割と良いので、飽きずに最後まで楽しめたかな。


終盤、色々と策を練って2人の仲にヒビを入れようとするOBの漫画家が出てきた辺りはちょっと悪ふざけの一線を超えているような気もしましたが、雨降って地固まるか…。
作画や主題歌もそこそこ良かったし、奏ちゃんがいるおかげでボケ倒しにもならず、佳作ラブコメだったと思います。

劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~


残念ながら参加予定だった東京のコンサートは中止になってしまいましたが、ちょうど届いたので観るか、と。もう劇場で見たのが1年近く前になるんですね。去年もあっという間だったなあ。
当時は原作を読んでいませんでしたが、改めて読んだ上で観ると、こんなに短いのか、と。100分で二年生編を描いているってすごいよな…。まあ『リズ鳥』と分けてるから実質3時間か。
コメンタリーとかあったらもっと良かったのに、と思ってブックレットの対談を開いたら、監督と山田さんはともかく、残り2人が池田さんと西屋さんだったのでなんとも言えない気持ちに…。


原作を読んでからだと、夢ちゃんのくだりとか、色々カットされているシーンが多いことに気付きますね。黄前久美子から見た2年生編、はこんな感じで間違いないんでしょうけど。
希美とみぞれについては『リズと青い鳥』でやってるとはいえ、他はどこかで補完してほしいなあ、というのも事実。当時原作ファンが色々言っていた理由がちょっとわかったかも。
見返してみると、思った以上に目線が雄弁に語っていることに気付きました。特に本番シーン、特典の絵コンテを見ながらだとポイントが分かりやすい。めっちゃ分厚いけど…。


先日、機会があってユーフォの話をしていたところ「2期はイマイチだったんですよね」と言われ、理由を聞いてみると「先輩が部を辞めるとか、つまらないことで揉めているように見える」と。
これ、割と的を射た意見だと思うんですよね。1期に比べると、2期はストーリーにまとまりがない。とにかく「府大会突破」というわかりやすい目標に向かってストーリーが収束していく1期。
それに比べると、2期は希美とみぞれの関係、久美子と姉の関係、そしてあすか先輩。軸はいくつかありますが、その全てが言ってみれば人間関係。散逸しているのはその通りかな、と。


ただ、やっぱり自分としては、これくらい表面化しないまでも、心のなかでは色々あるのが吹奏楽部員だろ、と思ってしまうので、説得力は2期の方が断然高いし、好きなんですよね。
コンクールの意味とは、部活と受験との両立はどうすれば、部内の人間関係は…。『誓いのフィナーレ』でもそうですが、多かれ少なかれ、みんな悩みを抱えながら部活に臨んでいると思います。
私は頑張れば何かがあるって信じてる。それは絶対ムダじゃない」って言い切ってくれた久美子を観て、当時何か救われたような気持ちになったことを思い出しました。
…でも、今観てもメンバー発表で奏が呼ばれた時の驚きの表情はちょっと面白い。「え、この編成でユーフォ3本なの!?」みたいな。自分も当時は同じリアクションしながら観てたな…。
あと2年生編は、もちろん久美子世代を見ているのも楽しいけど、一学年上、吉川・中川世代に思いを馳せずにはいられないんですよね。吉川優子、あまりに理想的な部長すぎる…。
あれだけ頑張って、泣き崩れてからのあの演説、カリスマ性の塊でしかないな、と改めて思いました。2年生編はこの後が健気で大好きなんだけど、何とか映像化されないだろうか。


観直してみて、改めて大好きな作品だなあ、と思えましたし、3年生編を楽しみに待とうと思います。
そういえばイベントの応募券がついてたから忘れないうちにと思って応募してみたけど、上映会付きなんですね。3時間も一気に観たら重すぎて感情がしんどくなりそう。

バビロン ★★★★★★☆☆☆☆

バビロン[Blu-ray BOX]

バビロン[Blu-ray BOX]

  • 出版社/メーカー: バップ
  • 発売日: 2020/04/22
  • メディア: Blu-ray


「生きることは善いこと」 その常識が覆される時代が訪れたら、あなたはどうする。 読む劇薬・野﨑まどが綴る衝撃作が、遂に禁断の映像化!
「その啓示は、静かにそっと訪れる-」 東京地検特捜部検事・正崎善は、製薬会社の不正事件を追ううちに、一枚の奇妙な書面を発見する。
そこに残されていたのは、毛や皮膚のまじった異様な血痕と、紙一面を埋め尽くすアルファベットの『F』の文字。
捜査線上に浮かんだ参考人のもとを訪ねる正崎だが、そこには信じがたい光景が広がっていた。
時を同じくして、東京都西部には『新域』と呼ばれる新たな独立自治体が誕生しようとしていた。正崎が事件の謎を追い求めるうちに、次第に巨大な陰謀が見え始め--?


Amazonプライムのあらすじを引用。不正を追っていた検事・正崎が、政治的な陰謀に巻き込まれていく…というサスペンス。
年末に公開されたエピソードがショッキングすぎて、いろいろな意味で見る気が失せていたのですが、ようやく観終わったので、感想を書いていこうかと。
作品を通してのテーマが2つあると思っていて、新域で成立する自殺法を通して「自殺は本当に悪いことなのか?」という問題提起をするのが1つ。
そして会話しただけで人を自殺に追い込める謎の美女・曲世愛が「人を殺すのは悪いことなのか?善悪とは?」という問いかけをするのが1つ。大きく2つのテーマがある。


全編を通して、先の読めない展開が売りで、良くも悪くも、最後までどうなるのか全く分かりませんでした。後半、話が世界規模に広がった時はどうなるのかと…。
取り調べのシーンを昨年度の話数単位10選に挙げましたが、前半の単話のインパクトだと昨年でも指折り。演出もかなり攻めていたように思います。


…その割には評価低いやんけ、という話なんですけど、とにかく、投げっぱなしで終わったのがものすごく残念。テーマを掲げておいて、それに答えないのは不誠実すぎる。
2つ目の「善悪とは?」というテーマについては、一応「善は続くこと、悪は終わること」という答えを正崎が出したわけですが、あまりにも陳腐ですよね…。
殺人はなぜ悪いことか?という問いに対して、生命が最も重要な保護法益であり、持続可能性がなくなるから終わらせるのが悪だ、という結論なら、最後まで引っ張る意味あったのか…?
まあ別に奇を衒った回答なら良い、というわけでもないですが、ここまで見てきてそんな普通の結論なの?とは思いました。周りの人が死にまくったからこそ出た結論かもしれませんが。


もう1つ、「自殺はなぜ悪いのか?」というテーマについては途中から有耶無耶になってしまったような。
まず、公開討論会を行ったエピソードがかなり浅くて、そこでこの作品への期待度が下がってしまったのが大きいですね。論戦しかける側も甘いし、斎側も詭弁だし。
日本では、自殺が罪に問われない一方、自殺教唆や自殺幇助が罪に問われるのはどういう理由か?というトピックがあるわけですが、その辺へ切り込んでくれるものだとばかり。
割と論理構成が難しい論点で、興味深いところだと思うんですけど、少しでも自殺に関する新たな知見とかが得られれば良かったなあ。残念ながら、それはなかったですね。


この作品の何がまずいかって、「自殺が良いか悪いか」と「人殺しが良いか悪いか」って、一見すると似ているようで、全然別のイシューだよなあ、ということ。
そこが別問題だから、斎と曲世が一緒にいても、どこかちぐはぐに見える。実際、後半はほとんど斎が出てこなかったし、結局新域がどうなったかもはっきりしない。


結局、この作品は「自殺」とか「善悪」というのは視聴者を釣るエサに過ぎず、先の読めない展開の中、ひたすらサスペンスの緊張感を維持する要素でしかなかったんですよね。
でなければ、「人と会話しただけで自殺に追い込める」なんて超能力者が何の説明もなく最後まで人を殺しまくるわけがない。整合性なんてものを期待する観方自体が間違っていた。


ただ、間違っていたとしても、やっぱり気に入らないなあ、というのが正直な感想ですね。やっぱりそれは不誠実だろう、と思ってしまう。
内容がないのに、最後までハリボテを大仰にマッチポンプして盛り上げ、トータルなら盛り上がったからプラス、というのは、自分には受け入れ難かったですね。
演出自体は奇抜だったし、割り切って楽しめれば良かったのかな。作者の作風と致命的に合わないと分かったので、次は最低でも全話終わって世間の評判が良くない限りは観ないだろうなあ…。

ジュエルペット てぃんくる☆ ★★★★★★★★★☆


観たことないけど、アンチを見たことがないアニメ」の1つであったこの作品、ようやく全話見終えました。…って観終えてから少し経ちますが、まあ色々忙しくて…。
内気な少女・桜あかりがジュエルランドから来たジュエルペット・ルビーと出会い、ジュエルランドにある魔法学校に入学することになる、というお話。
魔法学校で様々な経験を積んで成長し、最終的にジュエルスターグランプリに優勝して3つの願いを叶える。ストーリーを概観しただけだと、まあ、王道と言えるかな。


この作品の魅力は、まずなんと言っても主人公・あかりが良い子すぎる、というところでしょうか。美人でモデルで生徒会長の姉がいて、コンプレックスを持っている。
周囲からも姉と比較されがちだし、漫画家になる夢にも自身が持てず、気になる男の子にも話しかけられない…と、内向的なキャラクターなのですが、とても思いやりが深い。
持ち前の優しさでミリアや沙羅と少しずつ仲良くなっていき、かけがえのない親友になっていく様子を見ているのは楽しかったですね。4クールだとこういうのを丁寧に描けるのが良い。
最後の3つの願いも、全て他の人のために使うのがあかりらしくてとても感動的でしたね。私達のために使わないで、と気遣うミリアと沙羅の関係性も含めて。
思い返せば、あかりが最初に望んでいた願い、全部自分で叶えてるんだもんなあ…。本当に、成長物語としてはお手本のような作品だと思います。


…とまあ、そういう女の子同士の友情も勿論良かったのですが、自分がこの作品で特に好きなのは家族愛にまつわるエピソードで。
最初に「お、これすごく良い話だな」と思ったのが第11話「パパの会社でドッキ☆ドキ!」。普段家でダラダラしているパパが会社では頑張っている、という、訓話的なお話なのですが。
そういう意味で、ベストエピソードは第30話「思い出の写真にドッキ☆ドキ!」かな。ずっと心の底に秘めていた姉・モニカへの思いと、写真から明かされる母親のあかりへの愛情。
つまるところ、この作品は「才色兼備の優等生である桜モニカの妹」が「桜あかり」になっていく物語だと思うので、それにまつわるエピソードは大体好きですけどね。


アルマ周りのエピソードも良かったんですが、全体的に優しい世界だなあ、という印象は拭えず。本来、女児向けアニメなんだからこれくらいが普通なんだと思いますが…。
近年は土日の朝でも平気でめちゃめちゃ重いエピソードを入れてくるので、感覚が麻痺しているのかもしれない。とにかく、間違いなく名作だし、観て良かったです。

2019年度冬クールアニメ新番組2

何か忘れてるなと思ったら書いてない残りをそのうちに、とか書いて1ヶ月近くも放置していた。まあ、もう折り返しなので継続して観てる作品も絞られているのですが。

pet

導入を観てあまり惹かれずにそのままに。アマゾンプライムにあるので、放送後評判が良さそうなら後追いしようかな。

映像研には手を出すな!

主人公の声がハスキーだったのでこれが田村少年?と思ったら違った。話自体は地味だけど、湯浅作品は絵を見ていると楽しいのが良い。予算申請の4話とか特に。

魔術士オーフェンはぐれ旅

令和のアニメとは思えない古臭さなんだけど、リメイク版だからこれで正しいのだろうか…?

空挺ドラゴンズ

設定がどことなく『龍の歯医者』を思い出す。3DCGもどんどん進化してるなと思いますよね。観てるぶんではまだあまり話が動いていないのでこれから。

プランダラ

ちょっとゼロ年代的な古さを感じるけど、そこそこには面白いので観続けてる感じ。陽菜とはいつ再会するんだろう。

SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!!

多分前までのシリーズ観てなくても大丈夫そうな導入ではあったけど、初回を観てそのままになってしまってますね。

とある科学の超電磁砲T.

バンダイチャンネルでは観られないので面倒で1話を観たきりに。物語シリーズとかもそうだけど、長いシリーズだと付いていくのも大変だよなあ。

織田シナモン信長

声優が異常に豪華なアニメ。ご飯を食べながら毎週何となく観てしまう。転生型のうちタマですね。

ランウェイで笑って

原作を先に読んだので、ところどころ端折られてるのと背景が白いのが気になりますが、話は面白い。やっぱり芸華祭までっぽいなあ。

22/7

素朴な演技に耐えられずに1話で脱落しました。これも評判良さそうなら後追いしようと思います。

ドロヘドロ

太古の昔から存在だけは知っていましたが面白いですね。機会があったら原作も読んでみようかな。恵比寿が良いキャラしてる。

異世界かるてっと2

異世界アニメより面白い異世界枠。盾の勇者が追加参戦で、もはやカルテットじゃないけど。


結局、今も継続して観ているのが『恋する小惑星』『ダーウィンズゲーム』『マギレコ』『イド』『映像研』『へやキャン』『シートン学園』『防振り』『空挺ドラゴンズ』『プランダラ』
『デンドログラム』『ソマリ』『うちタマ』『リケコイ』『織田シナモン信長』『ランウェイ』『異種族レビュアーズ』『虚構推理』『ドロヘドロ』『異世界かるてっと2』でちょうど20作品。
継続が『アイカツ』『プリ☆チャン』『ラディアン』『入間くん』だから合わせて24作品かな?ここ数年でクール20作品を越えるのは久しぶりかも。割と当たりクールですね。
あとは、一応『プリキュア』の新シリーズもチェックだけはしておこうかな。もう5年くらい通しで観たシリーズがないので、久しぶりに観てもいいかな?とか思いつつ。

僕のヒーローアカデミア(第1期) ★★★★★★★★★☆

第1話 緑谷出久:オリジン

第1話 緑谷出久:オリジン

  • 発売日: 2016/04/10
  • メディア: Prime Video


映画が面白かったのもそうなんですが、全体的なクオリティが高かったので、これはアニメも観てみよう、ということで。きっかけがどうとかは関係ない。というかきっかけってなんだったっけ?
原作は結構前に序盤を数巻分ほど読んでそのままになっていましたが、アニメの1期は自分が読んでいた分の少し先までやっていたのかな。終盤は見覚えのない展開だったので。


まず、能力バトルヒーローもの、という題材が単純にアニメ映えしますね。作品そのものの質が高いので、よく動き、重要なシーンでの作画コストも高い。素直に、観ていて楽しい作品でした。
そして、主人公・出久が「元々は無能力者だった」という設定も良い。「ヒーローに必要な資質は何か?」というテーマを掘っていくのはシンプルですが、とても面白いですね。
作中で、同じクラスのヒーロー候補が何人も出てきますが、能力が異なるだけでなく、ヒーローを目指す動機が各々違うんですよね。
各キャラから様々な角度でアプローチがなされることで、上記のテーマがどんどん深みを増していく。
例えば、単なる「いじめっ子といじめられっ子」に留まらない、デクとかっちゃんの関係性はすごく興味深い。直情的に見えて、戦いにおいては繊細で真剣、って設定が好き。


1クール観てみて、1話1話の内容がいちいちとても濃く、とても面白かったのですが、丁寧すぎてストーリーの展開が遅いのは少し気になりました。
…まあ、観るのに使うエネルギーに比して、大して話進んでなくない?と感じただけなので、欠点とまでは言いませんが。王道すぎるとも思うけど、捻った邪道よりは王道のほうが面白いしな…。
結構話数が多いので、マイペースに観進めていきたいですね。幸い、とても楽しめてるので、時間さえ取れれば、という感じにはなりますが。好きなキャラは…悩むけど、梅雨ちゃんかな。

劇場版「メイドインアビス」-深き魂の黎明- ★★★★★★★★★☆

ライブが夕方からだったので、午前中の回を観に行きました。先週行こうと思ったら満員だったんですよね。
休日の朝だし、空いてるかなあ、と思ったんですが、割と埋まってました。オタクの成れ果てみたいなやつしかおらん。(自分を棚に上げる)
グロい描写は苦手なので、R-15に変わったという話を聞いて大丈夫かな…と心配でしたが、逆に心の準備をしてからして行けたのはよかったかも。アニメだと急にリコに針が刺さるからな…。


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色紙はナナチとミーティでした。特典があることも知らなかったのですが、今調べたらリコとプルシュカのバージョンもあったみたいですね。


お話は完全にTVアニメの続きで、深界四層から深界五層へと進んだ3人と、プルシュカとの出会い、そしてボンドルドとの対決。作中の時間は2日しか経過していないのに、非常に密度が濃い。
懸念していたグロシーンについては、序盤に出てきた、人間に寄生して眼窩からウネウネ出てくる芋虫が気持ち悪すぎて無理でしたが、腕切断とか人間解体とかはボカされてたしまあなんとか。
血の色もピンクだったし、その辺は配慮してるんだな、と思いました。痛々しい描写は結構キツかったけど、あれがないとこの作品じゃないから仕方ない。
でも、ハマシラマを食べるところは美味しそうでしたね。倉田英之ファンとしては、ああいう幕間の空気感を大事にしてくれるととても嬉しい。見た目は最悪だったけど…。


今回の映画で主に描かれていた、ボンドルドという「完全に価値観の異なる存在」との対決は面白かったですね。単純に善悪で割り切れるキャラクターではなく、むしろ一番真摯とすら言える。
アビスの謎を解明するためであれば他人はおろか、自分の肉体の消滅すら厭わない。そして、その目的達成のためであれば、何人もの孤児に、平等に「愛」を与えることができる。
まあ、その「愛」すら、実験やカートリッジの生成のためなんですけど。…でも、何匹もの成れ果てが出てきた時、ボンドルドは全員の名前を呼んでいましたよね。
もっと言うとカートリッジの名前も呼んでたし。「子供たちーボンドルド」という2者にとっては、果たして本当に不幸せな関係なのか。それはもしかしたら片面的な見方なのではないか?
ナナチとミーティのような信頼関係を築けていることが「呪い」を回避する条件なのだとしたら、そのために子供たちと、プルシュカに愛情を注いでいたのかな…とか、そんなことを思いました。


そして、面白いのが、「アビスの謎を究明したい」という思いは、リコにもあるということ。実際「ロマンは分かる」とボンドルドに理解を示す場面もありましたし。
それ以上に、最後、あれだけのことが目の前で起こり、昨日知り合って仲良くなったばかりの少女が「こぼれちゃった」あとで、リコは元気に深界六層に向かおうとするんですよね。
ナナチにしても、ボンドルドに対して「口車に乗っていなければ、オイラはよ…」と、言葉を濁していましたが、単なる憎しみだけではなく、それをきっかけに3人で冒険が出来ているのも事実。
「理屈では分かっても、理解はできない」相手と戦わざるを得ない難しさ。そして、ボンドルドも完全に倒されたわけではない。この辺りが作品の魅力の1つなのかもしれません。


レグとボンドルドのバトルシーンも圧巻でしたね。広い空洞で動き回る2人がとても迫力があって。あまりそういうシーンを期待していたわけではなかったのですが、いい意味で驚かされました。
なきがらの海の茫漠とした感じもそうですけど、こういうのはやっぱり劇場で大きな画面で観たほうが映えますね。まあ、自分は家でこれ観たら耐えられずに早送りしてしまいそうですけど…


全体的に面白かったのですが、プルシュカに関するシーンが意識的にキツく描かれてるのが辛かったですかね。カートリッジが排出されたあと、回想が長い長い。
そこまでプルシュカがどんな子か、というのが明かされていなかったから仕方ないんですけど(先に出しすぎると衝撃も薄れるし)長すぎて「趣味悪いな…」ってなってしまったところはある。


尺の面でも、放送コードの面でも、映画として制作するのが最適だったと思いますし、それに応えてとても良いものを作ってるなあ、という印象でした。
決して気分が良くなるような作品ではないんですけど、間違いなく面白い。…でも、映画館でポップコーンとか食べながら観る作品では間違いなくなかったな…。