適当な日常を綴る’

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ARIA The BENEDIZIONE ★★★★★★★★★☆

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長い冬を迎えたネオ・ヴェネツィア


寒空の下、合同練習をしていたアイ、あずさ、アーニャの3人は、
いつもと様子が違う晃の後をつけたのをきっかけに水先案内人ミュージアムを訪れることになりました。


出迎えた館長の明日香は、姫屋の伝説的なウンディーネとして知られる晃の大先輩。


二人は姫屋の創業時から大切に乗り継がれてきた1艘のゴンドラの継承者でもあるのですが、
晃の話によると、次の乗り手として期待される藍華にはその気がないというのです。


納得がいかないあずさは、どうしてなのか理由を探ろうとするのですが……。


三部作の最後は姫屋編、ということは藍華がメインになるはず。ということでずっと楽しみにしていた今作。
前作の舞台挨拶で、今作のスチール写真が初公開された時、千和さんと皆川さんが四つ葉のクローバーが写真に映っていることに言及されていて。
その時は「…なんだったっけ?」と思って、あとで調べて3期5話「その おもいでのクローバーは…」のことだと思い出したので、前日に見直しておきました。
ついでに13年前の自分の感想を読みに行ったら「千和さんの子供役の演技上手すぎw」みたいなことが書いてあって、高校生の頃から変わらねえな…と感慨深く思う。


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色紙はアイちゃんでした。この三部作、実質アイちゃんたち3人組編と言っても過言ではないですよね。


今回は「レジェンドゴンドラの引退」というストーリーの核があるわけですが、言わずもがな、次世代への交代、そして作品自体が最終章であることともリンクしている。
藍華が出自を呪い、才能がないことに悩んでいた過去の自分と決別し、新しい一歩を切り開く、というまとめ方は非常に前向きで良かったですね。


晃さんと藍華の「努力する秀才」という共通点、当時は全然意識していなかったけど、こんなに美しい師弟愛だったとは…。三部作で一番涙腺が刺激されてしまった。
そもそも牧野さんが生放送で言及していたのを聞いたせいで、主題歌がかかり始めたタイミングで既に危なかったのですが( エンディングで『ウンディーネ』が流れたのも感無量だけど。
努力しても無駄で出自が全て、みたいな論調が蔓延する昨今ですが、個人的には、どんな経験も何かの足しにはなるので、やらない理由を考えるよりは何かやったほうが、と思います。


昇格試験のシーンは『ARIA』らしからぬアクション描写でちょっと新鮮でしたね。印象的だった光と影の演出は、パンフレットによれば『第三の男』を参考にしたらしい。なるほどなあ。
そもそもアニメで藍華だけ昇格試験のシーンがなかったことすら忘れてたけど、それが巡り巡って10年以上経ってから映画になるとは。縁って不思議なものですね。


これで『ARIA』の世界が観られなくなってしまうのは寂しいけど、姫屋編で終わる、というのも何か収まりが悪いような気がするし、しれっとまた何年後化に続編がありそう。
何度も何度も書いているのですが、日常系アニメでありながら、変わりゆく日常を描くことで、逆説的に日常の大切さを実感させてくれる今作が大好きです。至福の時間をありがとう。