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明朗・潑溂・無邪気なブログ

天井桟敷の人々 ★★★★★★★★☆☆

牧野由依さんが無事に第一子をご出産されたそうで。おめでたいですね。予定日この辺りだったっけ、すっかり忘れてましたね…。

妖艶な女芸人ガランスと、純真なパントマイム役者バティストの恋模様を、パリの演劇界を舞台に描く、フランス映画屈指の名作。
詩人ラスネールや俳優ルメートルもガランスを自分のものにしようと言い寄り、自由で情熱的なロマンスが繰り広げられる。


祝日で時間もあるので長い映画を観てみようと思い、名作との呼び声高いこれ。フランス映画って普段あまり観ないからかなり久しぶりだったかも。
ヴィシー政権下のフランスで撮られたってのがすごい。ナチスはこれの制作を許していたんだろうか。反戦要素は特にない作品ではあるけれど。


魔性の女・ガランスに惹かれるバチスト、ラスネール、ルメートルモントレー伯爵。フランス映画って不倫とか当たり前なんですかね(偏見)。
先日読んだフロムの本と共通するな、と思いながら観ていたのですが、「恋」と「愛」は違うものなのだ、ということ。今作の妙味はそこにありそう。
ガランスを愛していると言い、相手にも同じような愛を求めた若きバチストがガランスと結ばれず、逆に行動的なルメートルが一夜を共に過ごす。
多くの人からの求愛に応えるだけのガランスは「恋なんて簡単」と言うわけですが、求めに応じているだけなのだからそれはそう。強者の理論。


しかし、この理屈もあくまで自由に恋愛ができる環境だからこそ成立するもので、伯爵夫人となったガランスは籠の中の鳥になってしまう。
自由を失ったガランスが求めたのがバチストで、バチストもそれに応えようとするも、既にバチストには妻と子供がいる…。流石に諦めろよと思ってしまうのは現代日本の価値観か。
ラストがやや唐突に雑踏の中での別れで終わったのも、2人が結ばれないことをガランスがそれとなく分かっていたからのような気がしますね。
結局、双方向に無償で愛を与えるという関係に至ることは難しいし、お互いがそのような気持ちになったとしても、状況が噛み合わないことも多々あるんですよね。
しかし、ナタリーも可哀想ではあるけど「最後に私のもとに帰ってきてくれればいい」みたいな世紀末覇王理論を振りかざすのは中々のメンh…胆力だった。


恋愛ものとしては色々考えながら観たら楽しめたんだけど、流石にちょっと長くて疲れましたね。だからこそ休日に観たわけなんですけど。
あと、この話に説得力を持たせるにはガランスが絶世の美女レベルじゃないと…と思うところ、演者が40代でおばさんやん…となってしまったのがちょっと。これは自分の好みか。